宇宙航空研究開発機構JAXA :: 後編

非営利団体

地球からの呼吸を感じる-「いぶき(GOSAT)」

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宇宙航空研究開発機構JAXA :: 後編

今回の「エコなニュース」は、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 JAXA様の取り組みをご紹介。

後編では、「いぶき(GOSAT)」と「だいち(ALOS)」という2つの人工衛星についてお伺いします。

  • 宇宙利用ミッション本部
    GOSATプロジェクトチーム
    金子 様
  • 宇宙利用ミッション本部
    事業推進部
    佐々木 様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

「いぶき」の開発のきっかけについてお聞かせください。

「いぶき」の正式名称は温室効果ガス観測技術衛星で、「GOSAT(=Greenhouse
Gases Observing Satellite:ゴーサット)
」とも呼ばれています。しかし、最初から「GOSAT」のプロジェクトがあったわけではありません。「GOSAT」のプロジェクトが立ち上がったのは2003年なのですが、それ以前に「GCOM-A1」という人工衛星の研究開発が立ち上がっていました。

この「GCOM-A1」は主に、オゾンなどの大気の微量成分を観測する科学中心の衛星でした。実は、「GCOM-A1」では二酸化炭素を測ることも可能だったのです。その観測方法は「太陽掩蔽(えんぺい)法(※)」という、大気周縁吸収測定法の一種によるものです。簡単にいうと太陽にセンサを向けて地球の縁を見るような方法なのですが、それによって二酸化炭素も測る予定でした。

※センサを太陽に向け、人工衛星から見た日の出、日の入り時の非常に明るい太陽光を基に大気中の成分を分析するというもの。輝度の高い太陽を光源することにより、高精度の観測が可能となる。

しかしながら、当時の地球温暖化に対する世論の高まりを受けて、「GCOM-A1」は温暖化を専門に調べる人工衛星にしようという方針になりました。そして研究推進委員会というものが発足し、それまでの観測方法の見直しを行い、太陽掩蔽法ではなく、二酸化炭素を測るのに適した直下視観測を採用することに決まりました。太陽掩蔽法では、地表に近いところの二酸化炭素の濃度を正確に測ることができません。そこで、センサを地球の方向に向けた観測方法に変えたのです。また、「GCOM-A1」ではほかのセンサも搭載していたのですがそれを全て外し、温室効果ガスの観測に特化させることにしました。

名称についても科学中心の衛星「GCOM-A1」から温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT」に変更し、2003年の4月に「GOSAT」のプロジェクトがJAXA内部で立ち上がりました。

「いぶき」という名前の由来についてお聞かせください。

「いぶき」という名称は、公募によって決まりました。ただし、第三者商標と被ることがないように注意しました。「いぶき」という言葉には、“地球からの呼吸”という意味合いが込められています。


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