イオン株式会社

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イオン株式会社

カーボンフットプリント商品の拡充を行っているそうですね。

イオンでは、経済産業省が2009年6月からスタートした「カーボンフットプリント制度試行事業」に参加しています。これは、商品の原材料から加工段階・流通・消費・廃棄・リサイクルまで、商品の全ライフサイクルを通じて発生するCO2排出量を商品に表示し、“見える化”することです。表示商品の販売や、商品の種別算定基準(PCR/Product Category Rule)の作成などに取り組んでいます。

カーボンフットプリントを表示した商品は増えているのですが、内容を理解していないお客さまや、そもそも表示に気づいていないお客さまは多いのではないかと思います。お客さまとのコミュニケーションの手段として、どのように展開していくか試行錯誤している段階です。カロリー表示ならお客さまも敏感なのですけどね(笑)。

しかし、CO2排出量を算定する技術は重要であり、低価格で良質な商品を開発・提供するために役立っています。2010年1月から、草津サティ(※現在はイオン草津店)ではカーボンフットプリントを採用した「トップバリュ グリーンアイ 特別栽培米コシヒカリ」の販売をスタートしました。カーボンフットプリントを表示した賞品の国内初の店頭販売ということで、かなりの注目を集めました。

トップバリュ グリーンアイ 特別栽培米コシヒカリ

ただし、現状では「カーボンフットプリント制度試行事業」に参加するプレイヤーがまだ少ないという点は残念ではあります。また、来年(2012年)には国から民間へと事業が移行される予定であり、今後どのような方向に進むかは分からない状況です。

ただし、世界的なISOの規格のなかに、カーボンフットプリント制度が盛り込まれるかどうかの議論が続いていることもあり、将来的にはグローバルに展開している企業の参入も考えられます。

CO2排出量を算定することはコストや時間がかかってしまうものの、重要だという認識はあります。当社にはメーカーさんと違い研究開発部門がなく、ほかの部署が兼務で行っているので算出には特に時間がかかってしまいます。しかし、それが無駄ではないという点は認識しているのです。

商品開発における“見える化”という視点は大切であり、物流面での見直しにもつながるので、当社では今後も続けていくと思います。ただし、マークをつけることが目的となっては本末転倒ではありますが。

どのような点で配慮がなされているのか、ブランドや環境に配慮した商品開発についてお聞かせください。

リデュース・リユース・リサイクル・リターナブルの“4R”をコンセプトとするエコロジー商品ブランドである、「トップバリュ 共環宣言」の誕生は2000年です。

「トップバリュ 共環宣言」のマーク

環境に配慮しているものの、品質・価格のいずれでも、お客さまに真に魅力のある商品を提案していきたいと考えています。2010年度には、白熱電球よりも40倍も長持ちし、電気消費量は10分の1というLED電球を販売しています。また、従来と比較して使用量が半分で済む、液体衣料用洗剤なども販売しました。

「トップバリュ 共環宣言」ブランドのLED電球
「トップバリュ 共環宣言」ブランドの液体衣料用洗剤

商品ラインナップは増えているのですが、誕生してから10年以上経っていることもあって(※2011年6月に取材)、そろそろ見直すべき時期ではないかと考えています。再度、どのような面で環境負荷に配慮・貢献しているのか、生物多様性の視点も含めて、ライフスタイルに訴えかける商品作りをしていくことが必要ではないかと思います。

「トップバリュ」というのは、イオンの中核を担うブランドです。東日本大震災をきっかけに多くの方がライフスタイルを見直す、あるいは実際に変えつつあるので、それに役立つ商品の開発・提供により、さらに認知されることになるはずです。そこで、現在当社では、ブランドの再構築について積極的に働きかけを行っています。販売している商品で環境にどれだけ貢献できるかが、特に当社のような小売業においては重要だといえるでしょう。現状の取り組みだけでは、まだ不十分ではないかと考えています。

「トップバリュ グリーンアイ」というブランドも環境に関連したブランドのようですが。

「トップバリュ グリーンアイ」というのは、農薬・化学物質・抗生物質・合成添加物を厳重に管理して作った農産物や水産物、畜産物と、それらを原料に製造した加工食品のブランドです。自然の持つ力を最大限に活用して生産され、おいしく栄養があり、地球環境にやさしいことをコンセプトとしています。

野菜や果物に関する食の安全危害最小化を目指す基準や、生産者側とお客さまを双方向で結ぶ仕組みを構築し、契約農家さんとのコラボレーションにより商品の開発や提供を行っています。

前身となる「グリーン・アイ」は1993年からスタートしています。鮮度や安心・安全という部分を担保できるような管理基準・品質基準を設け、トレーサビリティまで抑えている、総合的な商品ブランドが「トップバリュ グリーンアイ」なのです。

導入した当初は、農産物の担当者からすると、すぐ品切れとなってしまう安定供給という点で問題があり、契約農家さんで対応できないという事態が発生していました。しかし、努力によって、現在まで試行錯誤しながらも続いており、当社でもこだわりのあるブランドになっています。私個人としても、素晴らしいブランドではないかと思っています。

お取引先となる契約農家さんを育てることにもつながり、流通過程を整備することにも貢献できたなど、副次的な効果も数多くありました。先述した環境に配慮した商品も含め、「トップバリュ グリーンアイ」というブランドに一本化してもいいのではないかとさえ思います(笑)。

「MSC認証」の商品の取り扱いを拡大しているとのことですが。

「MSC認証」というのは、海洋管理協議会(MSC/Marine Stewardship Council)が限りある水産資源を守るため、適切に管理された漁業で捕獲されたことを認証するものであり、「海のエコラベル」と呼ばれています。

海洋管理協議会では、天然資源を乱獲しないなど、持続可能な自然環境の成長を妨げることのない漁獲を管理しています。

イオンでは「MSC認証」を受けた魚を加工し、販売しているわけですが、当社における認証は加工段階で十分に管理がなされているという点にあります。イオンは国内における初の認証としてアラスカ産紅鮭やイクラの販売を行っており、2010年度には国内事業として最多となる11品目、22種類の商品を取り扱っています。また、2010年10月からは、全国約1,200店舗で順次販売が開始されています。

「MSC認証」を取得した「トップバリュ 天然塩紅鮭」


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