イオン株式会社

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イオン株式会社

今回の「エコなニュース」は、「トップバリュ」のブランドでおなじみのイオン株式会社様の取り組みをご紹介。

イオン株式会社様では、レジ袋の使用量の削減やエコロジー商品ブランドの展開など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

グループ環境・社会貢献部 社会貢献&コミュニケーションチーム マネージャー 鈴木様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。

1758年に三重県四日市で創業を開始した太物(※絹織物などの太い糸の織物)・小間物(※現在でいう日用品など)商が当社の始まりなのですが、1926年に改組して誕生した「株式会社 岡田屋呉服店」が現在の基盤となっています。第二次世界大戦終了後の1946年に、現在の名誉会長である岡田卓也が代表取締役社長に就任して店を再建し、チラシを配って営業再開を知らせたところ、お客さまが殺到したのを見て、商売ができるまでに“平和になった”ということ、そして小売業というのは「平和産業」だということを実感したそうです。

その平和とはどういうことなのかを考えていくうちに、彼は平和でなければ商売は成り立たないということを強く思うようになりました。そのようなことがイオンの基本理念である、“「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という不変の理念につながり、その具現化のための行動指針である「イオン宣言(※)」を胸に、「お客さま第一」を実践してまいります。”という精神が、現在(※2011年6月に取材)まで受け継がれています。

※“イオンは、日々のいのちとくらしを、開かれたこころと活力ある行動で、「夢のある未来」(AEON)に変えていきます。”という宣言のこと。

イオンは現在、グループ全体で150社以上の規模にまで成長しましたが、経営者にはそのような精神が根づいているといえるでしょう。

1965年の岡田屋の県外出店第1号の「岡崎オカダヤ」開店時に、1,000本の桜を岡崎市の岡崎公園と伊賀川堤に植樹したのですが、これは、岡崎市に初めて出店したときの記念という意味がありました。現在では、桜の名所として市民の憩いの場になっています。

先述したように、当社の前身のひとつである岡田屋の始まりは四日市なのですが、1960年~1970年ごろの同市は公害問題が発生していました。そのため、当社は環境問題にはそのころからすでに関心があったのではないでしょうか。

20世紀も終わりを迎えつつあるころ、名誉会長の岡田が21世紀を考えたときに、それまでの“東西問題”が終わり、これからは“南北問題”の時代となると予測していました。それは、環境問題のことを意味しており、そのような切り口で新たに施策を打ち出しました。この時期には、以降の環境保全活動の中心となる取組みが数多く開始されています。

1989年に「イオングループ1%クラブ(現在はイオン1%クラブ)」が設立され、1991年には「イオングループ環境財団」の設立や「イオンふるさとの森づくり」が開始されています。

「イオン サスティナビリティ基本方針」というものを策定されていますが、そちらの内容についてお聞かせください。

当社では「イオン環境理念」というものを10年前(※2011年6月に取材)に策定したのですが、その内容は3Rの推進が中心であり、時代に適したものとはいえなくなってきました。また、「環境方針」は数年に1回という頻度で見直しを図っているのですが、昨年(2010年)のものは温暖化防止に焦点を当てた内容のため、今後のことを考えると活動領域としては不足してしまうと考えられていました。

そこで、2011年から「イオン サスティナビリティ基本方針」というものを策定し、持続可能な社会を構築していくために、企業としてやるべき数多くのことをまとめました。「低炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「資源の有効利用」「社会的課題への対応」の4つを柱に、環境と社会貢献の施策を組み立てて、毎年レビューを行い、それぞれの地域に根ざした活動を積極的に推進していくという内容です。

「イオン温暖化防止宣言」についてお聞かせください。

「イオン温暖化防止宣言」は、2008年3月に発表しました。これは、「2012年度の二酸化炭素(CO2)排出総量を、2006年度比で185万トン削減する」という数値目標を掲げています。現在、当社では「イオン温暖化防止宣言」に基づいて取り組みを進めています。

2012年度のCO2削減目標と2010年度の実績の比較

電気やガスの使用により、主にCO2を排出しているのは店舗といえます。店舗での削減目標は50万トンだったのですが、2010年度の実績では、それを超える73万トンも削減することができました。

商品や物流における削減や、レジ袋の削減といったお客さまとともに取り組む活動も、その内容に含まれています。特に商品については、お客さまに使っていただくことでどれだけCO2の削減に貢献できるかという点で計算しています。それには、削減効果のある商品をどれだけ販売・開発できるかが重要です。

このように、「イオン温暖化防止宣言」は店舗や商品と物流、お客さまとの取り組みに加えて、目標の達成状況によってはCO2排出権の購入も視野に入れて、合計で185万トンを削減しようという内容です。

2010年度の実績では、合計で139万トンもCO2を削減することができました。目標までもうすぐ……ともいえそうですが、物流面ではまだまだ課題が残ります。この点は、社内でもタスクチームを組んで重点的に取り組みを進めており、目標達成までには何をすべきなのかブラッシュアップを図っています。

「イオン生物多様性方針」というものもありますね。

「イオン生物多様性方針」は2010年に策定しました。正直なところ、生物多様性に関しては社内でも勉強中という段階です。MSC認証商品やFSC認証商品の販売などは実施していますが、生物多様性の問題が事業活動とどのような形でかかわってくるのかは未整理という状態であり、イオンとして、また流通業として具体的にすべきこと、できることは何かについてもしっかりとした枠組みが構築されていません。社外の研究会などに積極的に参加し、知識を吸収しています。

やはり、2010年が「国際生物多様性年」ということで、「イオン生物多様性方針」を策定したのですか。

端的にいうと、そうですね。「イオン温暖化防止宣言」とは異なり、生物多様性の客観的な指標は何かというのは難しく、具体的な数値目標は立てられていません。研究会や勉強会に積極的に参加しているのも、生物多様性の知識を身につけ、情報を整理し、社内外に情報を発信できるようになる、定性的・定量的な指標づくりをしたいと考えているからです。


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