イオン株式会社

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イオン株式会社

お客さまとの共同の取り組みとして、レジ袋の使用量の削減がありますが、こちらについてお聞かせください。

レジ袋の使用量の削減については、2007年から実施しています。京都府京都市の東山二条店(※現在は、イオンリテール株式会社の店舗)が最初に取り組みを行いました。

1991年より、「買物袋持参運動」というものを進めていました。当社では、レジ袋をいらないといっていただいたお客さまの割合を「買物袋辞退率」として算出しており、15%にまで伸びていたのですが、ここ2年ほどは停滞している状況でした。スタンプカードを採用し、レジ袋が不要というお客さまにはスタンプを押して、それが20個集まると100円割引価格で当社のプライベートブランド商品を購入できる取り組みを行うなど試行錯誤しましたが、それほど伸びることはなかったのです。

ただし、同様に競合他社さんを見ても、レジ袋の使用量の削減については頭打ちという状態でした。

イオンの大きな目標として、ヨーロッパ並み(6割~7割)に大幅なCO2排出量の抑制を行うことを掲げていました。それにはどのような手段を選択すべきかを考えるなかで、最も効果があると予想されたのがレジ袋の無料配布の中止だったのです。当時はレジ袋の“有料化”と呼んでいましたが、当社ではレジ袋の提供方法を見直して、“無料配布をしない”という取り組みで進めていきました。今では、レジ袋無料配布中止という言葉が一般的に使われるようになっています。

レジ袋の使用量の削減という取り組みは、事業者にとっては売り上げが落ちてしまうのではないかという懸念があります。例えば、スーパーマーケットが2店舗並んで建っており、一方はレジ袋を無料で配布し、他方は有料だとしましょう。2006年当時、アンケート調査の結果が新聞に掲載されていたのですが、2割のお客さまはレジ袋の無料配布の店舗に行くと答えています。単純にいうと、売り上げがその分落ちてしまうことを意味します。

売り上げが極端に落ちると、営業することは困難になってしまいます。そのような事態を避けつつ、レジ袋を削減するには、お客さまにも協力していただきながら進めていくという連携が必要です。

そこで、東山二条店では足かけ3年で、京都市と市民団体、事業者でレジ袋の削減に関する協議を行い、話し合いを重ねていった結論として、無理なく進めることのできる取り組みとして2007年からスタートしたのです。それ以降、各エリアでお客さま・自治体・市民団体・事業者が話し合いを行い、それに基づいて担うべき役割を明確化し、レジ袋削減の取り組みを実施するという形で進めています。

今年(2011年)の2月末までで、イオングループ連結でレジ袋無料配布中止を実施しているのは、全国で756店舗にもなります。

ただし、ここ数年は積極的に取り組みたいという自治体はあまりなく、残念ながら停滞傾向にあります。リーマンショック以降、営業環境が厳しくなったこともあり、埼玉県川口市ではレジ袋無料配布中止ができる企業や店舗でのみ実施する形(※レジ袋の大幅削減目標を地域条例として制定)で開始されたのですが、実施企業のなかでは、実施店舗の業績低迷の要因のひとつとしてレジ袋無料配布中止が批判の対象にされてしまったのです。そのため、川口市では現在、レジ袋無料配布中止は縮小しています。

ただし、当社では一度始めたことは中止することで、お客さまを混乱させる事態を避けたいということもあり、現在でもレジ袋無料配布中止を続けています。

売り上げに対する懸念が全国にも広まり、レジ袋無料配布中止が上手くいかないのではという、腰が引ける事業者が増えていきました。自治体は中止に至った事業者への説得などを試みましたが強力な後押しには至らず、停滞したという事態につながりました。

最近では、全国的に見ると、毎月1ヶ所~2ヶ所程度ですがレジ袋無料配布中止を行う自治体が増えています。事業者としてのCO2排出量の削減については、目に見える形で成果を公表するべきだという意識が、消費者の間にも社会的に高まってきているので、将来的には変わりつつあるのではないかと期待しています。

富山県のように、当社のようなGMS(General Merchandise Store/総合スーパー)やスーパーマーケット、町のクリーニング屋さんなども含めて、何百店舗といった規模でレジ袋の無料配布中止を行っているところもいくつかあります。

レジ袋の使用量の削減の一環として、「マイバスケット運動」や「買物袋持参運動」というものも行っていますね。

「マイバスケット運動」は、2000年よりスタートしました。レジ袋の削減とお客さまの利便性向上を目的とした、ピンク色のお持ち帰り専用カゴです。お店の買物カゴをマイバスケットに重ね、カートに載せて利用します。レジでの精算後に買物したものをマイバスケットに移し替え、お支払い済みの目印をつけることで、レジ袋を使わずにそのままお持ち帰りいただけます。特に、車でご来店いただいたお客さまには好評ですね。

手軽にレジ袋の削減に貢献することができ、しかも原材料の一部にはプラスチック廃材を採用することで環境にも配慮しています。サービスカウンターにて、1カゴ315円(税込み)で販売しています。

マイバスケット

当社だけでこの運動を展開しても意味はなく、お客さまのライフスタイルを変えることは難しいので、マイバスケットをほかのお店でも利用できることようにご協力いただきました。逆に、他社さんのお店のマイバスケットをイオンの店舗で利用することも可能です。なお、マイバスケットという名称は広く使われていますが、社内のコンプライアンスの関係もあって商標登録済みです。

「買物袋持参運動」というのは、いわゆる「エコバッグ」のことです。レジカゴ用マイバッグ(※税込みで1個680円)や携帯用マイバッグ(※税込みで1個380円)のほか、内側がアルミ使用となっている冷蔵食品や冷凍食品の購入の際に便利な保冷マイバッグ(※税込みで1個780円)があります。

レジカゴ用マイバッグ
携帯用マイバッグ
保冷マイバッグ

レジ袋の使用量の削減により、どれくらいの成果があったのですか。

当社の基準で計算して、2010年で16億6,155万枚もレジ袋を削減することができました。また、レジ袋辞退率は61.5%にもなっています。CO2排出量の削減で計算した場合、約15.5万トンもの削減につながり、省資源効果については200リットルの石油ドラム缶で約15.2万本分の節約に貢献しています。

レジ袋辞退率・レジ袋削減枚数の推移

レジ袋の無料配布を中止している店舗数は、全国で756店舗(※20111年2月時点)にも拡大しています。

お客さまとの共同の取り組みとして、植樹活動も行っていますね。

当社では、1991年より植樹活動を行っています。1965年の「岡崎オカダヤ」開店時に1,000本の桜を岡崎市に寄贈したと述べましたが、さかのぼると、それがそもそものきっかけともいえるでしょう。

新店舗ができたときに、その地域で暮らしているお客さまにご案内してボランティアの参加者を募り、店舗の敷地内に植樹を行っています。ネームプレートをつけることで、自分の植えた木がどれくらい成長したのか、目で確認することができます。

立地条件や問題により、どうしても植樹ができないところもありますが、それ以外の土地では地域のお客さまと一体になって、取り組みを続けています。

「2012年までに11,000,000本植樹」という目標を掲げており、中国や東南アジアなどでもグローバルに活動を展開しています。「イオン ふるさとの森づくり」では店舗の周辺で行うのですが、「公益財団法人 イオン環境財団(※1990年の設立時は財団法人 イオングループ環境財団)」では、海外での植樹活動を展開しています。国や地方自治体と連携し、自然災害などで荒廃した森を再生させるために努力しています。

「イオン ふるさとの森づくり」と「公益財団法人 イオン環境財団」の本数を合算すると、2010年時点で947万本も植樹しています。

現在では、植樹をしたあとのケア、つまりは育樹についてどうするかという課題があります。植樹して終わりではなく、定期的にメンテナンスを実施することも必要です。


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