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ホタルを通じた環境意識-「ほたるキャンペーン」

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株式会社学習研究社

今回の「エコなニュース」は、「Gakken」こと株式会社学習研究社様の取り組みをご紹介。

調査キャンペーンや書籍などを通じて、環境問題をどのように子供たちに分かりやすく伝えているのでしょうか。

  • 環境・安全推進室
    (消費生活アドバイザー)
    室長
    大森 様
  • 広告・宣伝事業本部
    コミュニケーションビジネス事業室
    室長代
    弦川 様
  • EMS事務局(環境・安全推進室)
    事務局長
    島田 様
  • 経営企画部 経営企画室
    事業開発チーム
    主査
    中村 様
  • 学研教育総合研究所
    吉岡 様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

様々なキャンペーンが行われていますが、「ほたるキャンペーン」はどのような経緯で始められたのですか。

「ほたるキャンペーン(※)」は、地球温暖化がクローズアップされるようになった1997年に始まりました。小さな子どもたちも参加できるキャンペーンは何かと試行錯誤するなかで、ホタルがいるかどうかを調べるだけで環境調査ができる「ほたる観察レポート」が適しているのではないかと考えたのです。

(※)「学研ほたるネット」を参照。

ホタルはきれいな空気や水、安全な土壌がなければ生息できないため、「ホタルが住むことができる=生き物に優しい環境」といえるのです。そのようなことがあって、ホタルに注目したという訳です。

どのようにホタルの調査を行うのですか。

弊社は、全国の保育園や幼稚園に保育月刊絵本・教材,保育者向け月刊誌をお配りしています。それらについているレポート用のはがきで調査結果を送っていただく方法と,ホームページ(「学研ほたるネット」の応募ページ)を通じて、一般の方から調査結果を送っていただく方法により、データを回収しています。はがきで調査結果を送っていただく場合はホタルの絵も書いていただいています。

ホタルの調査レポートは、年間どのくらい寄せられているのですか。

今まで(11回目まで)に参加いただいた方の人数は、10万人を超えています。単純に計算すると、年間で約1万人に参加いただいていることになりますね。

ホタルの調査を行って、分かったことはありますか。

参加人数が実施した年や地域によって変動するため,正確な比較は難しいのですが、沖縄から北海道までかなり広い地域に渡ってホタルが生息していることが分かりました。2000年から2005年度まではキャンペーンへの参加人数が減少し続けており、ホタルを見たという報告の割合も減っていました。これは、「ほたるキャンペーン」の告知が不十分だったというだけではなく、身近な環境でホタルを見ることができなくなったということも原因のひとつではないかと思います。

しかし、ここ数年でキャンペーンの参加人数は増加傾向にあり、以前生息できなかった地域での確認の報告が増えています。そこから、「ホタル観察を通じて環境保全への関心が高まっている」、「環境が改善されている」などと推測できます。

「ほたるキャンペーン」の方針のようなものはありますか。

弊社は幼児向けの絵本、教材の出版を行っており、幼児期における環境教育の重要性を早くから認識していましたので、「ほたるキャンペーン」がきっかけとなって、子どもたちが自然と触れ合い、身近な環境に興味を持って欲しいと考えました。

「ほたるキャンペーン」の告知では苦労しましたか。

「ほたるキャンペーン」の告知は、全国の幼稚園、保育園の先生方にご購読いただいている月刊誌を中心に行っています。弊社には、雑誌というコミュニケーションツールがあるので、告知はスムーズにできます。幼児教育事業や出版事業が土台にあることが、弊社の大きな強みになっています。

「ほたるキャンペーン」は、今後どのように展開していくのですか。

2008年度で「ほたるキャンペーン」は12回目となります。環境問題の社会的な関心が高まり、一人一人の環境活動が重要になっているなか、このキャンペーンを継続して行うことは有意義ではないかと考えています。今後はより良い調査や集計方法など情報公開の方法を検討しながら、さらに多くの方に参加していただけるよう、絵本の読者への告知の工夫やホームページの充実を考えています。

調査データは、今までは主にホタル生息地図作成のために使用していましたが、今回初めて地域別のホタル初見時期を集計し、ホタル前線地図を作成しました。この地図は、2008年度募集用ポスターの中で、「ホタル観測時期のめやす」として掲載しました。今後は、継続してホタル前線地図を作成していけるよう、集計方法の効率化をはかる必要があります。

他の調査項目も有効活用できると思われるので、どのような活用方法があるか、そのための改善点は何かなど検討していきたいと思います。現在、キャンペーンへの参加者の中心は絵本などの読者で、ネットを通じての一般の応募者は5%程度です。今後は、一般の参加者も増えるよう、募集方法を検討したいと思います。

多くの方に関心を持っていただくためには、単にホタル観察を呼びかけるだけでは不十分です。ホタルをよく知り、マナーを守って観察してもらえるよう、ホタルとそれを取り巻く環境やホタルの生態の特徴など、ホタルにまつわるさまざまな情報についてポスターやホームページなどで、広く効果的に開示していきたいと思います。例えば、ホームページに「ホタルQ&A」や「ホタル物知り検定」といった興味を引く内容を加えたり、専門家による研究、地域の取り組みを紹介して、横のつながりを広げるといったことも考えています。

ホタル生息調査地図


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