キリンビール株式会社

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キリンビールの環境の取り組み‐4つのテーマ

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キリンビール株式会社

「エコ・ファーストの約束」のなかに、容器包装の3Rに関する内容がありますが、びんのリサイクル化や軽量化についてお話しください。

びんも缶も、3R(リユース・リデュース・リサイクル)の取り組みがありますが、びんに関しては、1974年に「容器保証金」という制度を導入し、昔から繰り返し使うための回収促進の仕組みを整えてきました。

容器保証金の制度は、ビールを販売する際に1本につき5円の容器の保証金を預かり、販売店に空きびんを戻したときに、保証金が返還されるという仕組みです。また、小売店様や卸店様には容器の取扱手数料というものを別途お支払いしており、空容器の回収の促進を図っています。

キリンビールからの製品出荷量は、1995年ごろはびんと缶が同じくらいの割合だったのですが、現在(2011年)では売上構成では缶が約8割となっています。今でもびんビールをご愛飲いただいているお客様もいらっしゃいますが、冷えている必要な分だけを購入するお客様が多くなっていることから、びんから缶へのシフトがさらに進んできたといえるでしょう。料飲店様ではびんビールや樽詰めビールが使われ、現在でも空きびんを回収していただけるという仕組みが残っていて、びんを繰り返し使うという仕組みは維持していきたいと考えています。

びん製品の総量は減少しているわけですが、それなりの量はあり、繰り返し使用することからも、資材の使用を減らすための取り組みとしてびんの軽量化を行っています。

1993年ごろからすでに、キリンビールでは軽量大びんを導入しており、2003年6月には100%切り替えが終了しています。他社さんと当社の大びんを比べていただけると、見た目が明らかに異なるのが分かるかと思いますが、その理由は当社のびんの表面にツヤがあるためです。

びんを軽くするためにはガラスを薄くする必要があるのですが、ビールは発泡性があり、強度が落ちてしまうことは避けたいわけです。繰り返し使ったとしても強度が落ちることがないように、びんの表面にセラミックスのコーティングを施しているため、当社の大びんにはツヤがあるのです。

びんのリユースの仕組みは、どれくらい昔から確立されていたのですか。

昔はガラスびんも貴重品で、先ほどお話した容器保証金制度が導入される前までは、業者さんが流通していたびんを1本いくらという形で購入し、それをまとめて当社が回収していた時期もあったと聞いています。

軽量化のために大びんのガラスを薄くしたとのことですが、それによってどれくらい軽くなったのですか。

従来の大びんの重量は605gあったのですが、現在の大びんは475gとなっていて、21%軽量化しています。20本入り1ケースでは、約2.6kgもの軽量化を実現しました。ガラスは薄くなっていますが、強度は以前と変わらず、むしろ、セラミックスのコーティングによりキズがつきにくくなり、強度や耐用年数は増したようです。

従来のびんと軽量化びんの比較

また、小びんについても軽量化を実施し、1995年には切り替えが完了しました。従来の390gから10%も軽量化を実現したことで、現在の小びんの重量は351gとなっています。

耐用年数のお話がありましたが、回収したびんはどの程度のサイクルで利用されるのですか。

一般的にいえば1年間に3回ほどで、それを8年間続けるとなると、24回くらいは使用することになりますね。なお、びん1本1本について細かいキズがないかセンサーでチェックを行い、問題のあるものについては流通から外しています。

センサーで問題があるとされたびんについては、どのように処理されるのですか。

そのようなびんは細かく砕かれて、「カレット(※)」と呼ばれる新たに製造されるびんの原料として用いられることになります。

※カレット=びんを破砕したガラスくずのこと。

びんといっても、一般のビールびんや青く着色されたガラスびんなど、様々な種類があると思いますが、それらはまとめて砕かれることになるのですか。

ガラスびんの業界では、“白”と呼ばれる透明のびんと茶びん、その他の色のびんというように区分されています。

一番需要があるものは透明のびんなのですが、これは着色すればどのような色のびんにすることも可能です。次に需要の多いものは、ビールでよく用いられる茶びんです。ビールびんが茶色なのは、中身に光が当たってしまうと変質してしまうことが理由です。そのため、薬で用いられるものと同様に茶色のびんを使用しているわけです。

ビールびんのような茶系統の色は、つくるときにある程度色調のコントロールをすることが可能と聞きます。しかし、それ以外の色のびんは色調が千差万別で、白や茶のように量も多くないので、それぞれの色ごとに元の色のびんに戻すことは難しいようです。

そこで、その他の色のびんについてはまとめて破砕し、濃く黒っぽい色調のガラスびんとして製造するか、細かく砕いて砂のようにし、路盤材として道路などに混ぜて利用することになります。


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