キリンビール株式会社

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キリンビールの環境の取り組み‐4つのテーマ

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キリンビール株式会社

今回の「エコなニュース」は、「キリン一番搾り生ビール」や「キリンチューハイ氷結シリーズ」でおなじみのキリンビール株式会社様の取り組みをご紹介。

キリンビール株式会社様では、製造業初のエコ・ファースト認定企業として、容器のリサイクル化・軽量化や水資源の保全活動など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

CSR推進部 品質・環境室 主査 山村様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境への取り組みを始めたきっかけについてお聞かせください。

キリンビールという企業の特性の視点から、環境への取り組みの特徴に関する説明をしたいと思います。当社の環境の取り組みには、大きく4つの特徴があります。

1つ目の特徴として、「容器包装」を挙げることができます。当社は食品を製造しているので、製品をお客様のお手元に届けるためには入れ物(容器)が必要となります。お客様に製品の中身を飲んでいただいたあとは、空の容器だけが残ることになるわけですが、それをどうするかという問題があるわけです。

2つ目の特徴として、「廃棄物」があります。ビールの製造においては、原料を仕込んでから麦汁(エキス分)を絞ったあとの残りが廃棄物となります。しかも、製品を製造すればその分だけ、廃棄物が発生することになります。

自動車や家電製品のメーカーであれば、製造ラインにおいては歩留まり(※)が高いほうがいいわけで、投入した原材料全部が最終製品になって出荷できるのが理想だといえるでしょう。しかし、当社では製造過程において必ず廃棄物が発生するという点で、自動車や家電製品のメーカーとは異なります。

※歩留まり=製造過程における、欠陥なく製品を出荷できた割合のこと。

3つ目の特徴として、「水」を挙げることができます。おいしいビールを製造するにはおいしい(きれいな)水が必要という点がありますが、洗浄においても水が必要となります。仕込みに使ったタンクや製品を詰める上での配管など、その都度洗浄を行う必要があります。洗浄に使った水には有機物が含まれているので、当然ですがそのまま川や海に捨てることはできません。浄化してから排水しなければならないのです。

4つ目の特徴として、「CO2排出削減」があります。製品の原料となる農作物は、生育する間に光合成を行ってCO2を固定・吸着しています。これは自然由来の「炭素循環」ですが、製品の製造段階で使用する化石燃料により発生するCO2の炭素循環との2つがあります。キリンビールでは、両方の炭素循環があるということが特徴です。

化石燃料などのエネルギーを利用するという点では、ビール業界は「発酵」という微生物(ビール酵母)の働きを利用しているので、必然的にそれをコントロールする温度帯の管理が必要になります。酵素活性化や発酵、さらには貯蔵において冷熱(※マイナス数度~100度程度)の両方にエネルギーが必要となります。

鉄鋼業界やセメント業界などでは、一般に高い温度が必要とされるわけですが、当社のような業界では、微生物をコントロールするための温度帯を管理しなければなりません。

このように、発酵という自然の働きを活用する部分と、装置産業という高度な機械技術を活用する部分を併せ持っているのが、キリンビールの事業なのです。

4つの特徴のなかで、当社の環境における取り組みとして最初に行ったのは水処理についてです。1966年ころにはすでに排水処理場が本格的に導入されており、洗浄に利用した水をきれいにして河川に戻すことを実施していました。

1970年代になると、日本は高度成長期へと突入するわけですが、食品業界にも大きな転機が訪れます。従来は飲料容器というとびんだったわけですが、缶に入ったものが販売されるようになりました。そのため、空き缶の散乱が社会的・環境的な観点から大きな問題となったのです。そのような状況下で、空容器の回収や処理を考える必要が出てきました。

こうした工場から外に出た製品のリサイクルの取り組みを進めるうえで、工場内においてもゴミを減らし、その廃棄物を直接埋め立てることなく、再資源化の取り組みを始めたのがこの時期です。

このように、環境への取り組みを始めたきっかけというと、当社の業種の特性と、社会問題化した部分への対応という点が大きかったのではないかと思います。

飲料を扱うという点では、やはり水が重要なのですね。

そうですね。おいしいビールの製造には、やはり良質な(きれいな)水が必要なのです。


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