大日本印刷株式会社

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いきものがつながる緑地づくりのために! DNPが実現する自然共生社会とは

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製品開発にも「環境配慮」の視点をプラス :: 大日本印刷のCSR・環境活動

環境への配慮は調達や製造のラインだけでなく、製品の開発にもつながっているそうですね。

森氏:開発の面でも「環境を意識しよう」という製造方針を出しています。自社の製品やサービスに対し、「原材料調達のタイミングで従来品よりCO2が減った」「廃棄の負荷が減った」などの項目をチェックしていき、得点に応じて「エコプロダクツ」「スーパーエコプロダクツ」とする社内認定制度を設けています。具体的には、石油ではなくサトウキビの廃糖蜜で作られたプラスチックフィルムを用いた包装材「バイオマテック」(図1参照)などが挙げられます。

バイオマテック
図1:DNPの植物由来包材「バイオマテック」
(下部は社名を模したキャラクター「デイーエヌペンギン」)

石油を使う従来のプラスチックフィルムと植物由来のものでは、環境への影響はどのように違うのでしょうか?

鈴木氏:植物由来の場合、廃棄処理や燃焼時に出るCO2はもともと植物自身が吸収していたものと考えられるので、CO2量が相殺できて増えてはいないと想定できます。しかし石油由来では、植物のようなCO2の吸収がなく、燃やすことで発生するCO2がそのまま増加すると考えられます。また、枯渇資源である石油を使わずに、循環資源の植物を使うことで、地球上の資源を大切に長く使うことにもつながります。「バイオマテック」は未来につながるサステナビリィティ包材です(図2)。

エコなポイント
図2:DNPのサステナビリティの考え方

森氏:印刷に使用するインキも植物由来のものを積極的に使っています。環境配慮製品やサービスを増やすことで、売上も伸ばしていこうという目標も立てています。

環境配慮製品・サービスの売上は年々上がっていますが、2013年度の3,698億円から、2014年度には4,788億円と特に大きく伸びていますね。

鈴木氏:そのタイミングで、環境配慮製品・サービスの制度のチェックポイントを見直しました。自社で作っている製品、使っている原材料がきちんと環境保全につながっているかを再確認し、全社的に目線を揃えたことで、“環境配慮”と認定可能な製品・サービスの認識を統一することができました。2015年3月時点で25品目に増えて売上に計上できたため、数字が大きく伸びました。

環境配慮製品・サービスの開発に特化した部署などがあるのですか?

鈴木氏:新たに部署を設置したわけではなく、社内のすべての開発部門に「環境に配慮できているか」という視点をインストールしたという方が近いですね。それにより、モノづくりをする上で、「新しいけど環境負荷が大きいもの」ではなくて、「環境負荷が小さくて新しいもの」を開発していこうという意識が芽生えたと思います。

また、今後は既存の環境配慮製品・サービスを振り返る機会も作っていくべきだと考えています。開発当時は画期的な環境保全につながっていたものも、時間が経てば当たり前のものになり、“それ以上”が求められることが往々にしてあります。例えば、パーツごとに分けて廃棄しやすい冊子を開発しても、数年後にはすべての冊子がそうなっているかもしれない。それはもう環境配慮製品ではなく、一般的な製品です。生み出すだけでなく、社会的に“環境配慮”と呼べるかどうか、その時代に即したものなのかどうか、常に製品の質を見直す取組みも進めていく予定です。

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