ソニー株式会社

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製品作りにおける環境負荷を認識しよう

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エンターテインメント分野における環境への取り組みについて、お聞かせください。

基本的には、アーティストの方々による植林活動やグリーン電力で行うライブイベントといった形で取り組んでいます。

ソニーミュージックには、グリーン電力を使ったスタジオが東京の乃木坂にあるのですが、そこでCDのマスタリングを行い、グリーン電力を使って作られたことを証明するマークを貼って販売します。玉置浩二さんや浜田省吾さんなど、ソニーミュージック系のアーティストの方々がそのスタジオを使ってマスタリングしているのです。

また、ソニークリエイティブプロダクツの「ナチュラルピングー」というキャラクターグッズがあるのですが、その素材はオーガニックコットンを使用しています。

ナチュラルピングー

ライフスタイルマガジン「Lingkaran(リンカラン)」という隔月で出る雑誌では、エコロジカルでオーガニックなライフスタイルを提案しています。ちなみに「ecopress」という雑誌は、「Lingkaran」の編集部によって作られています。このような形で、グループ内の交流を深め、ソニーグループ各社での環境教育を進めています。

「ecopress」にはソニーミュージック系のアーティストの特集も組み、ソニーグループ内での環境教育の取り組みにご協力いただいております。このようなコラボレーションは、雑誌以外でも行われています。

エンターテインメント分野における環境への取り組みにおいて、アーティストの方々のスケジューリングなど、苦労なさった点はありますか。

特にありません。アーティストの方々は非常に環境問題への意識が高く、環境への取り組みを無理に行っているわけではないというのは、非常にありがたいことです。実はソニーピクチャーズ本社の建物も、環境に配慮して設計がなされております。

「SAYURI」という映画のセットを、別の映画やテレビドラマにまた使うという、セットの再利用の仕組みも構築・運用しています。これはソニーだけではなく、ほかの制作会社にもWeb上のオンラインカタログから貸し出すことが可能となっています。

エンターテイメント系の環境への取り組みの事例については、Webサイトにも詳細な内容が掲載されておりますので、ぜひ多くの人にご覧になっていただきたいですね。

エンターテインメント分野における環境への取り組みは、今後どのような方向に進むのでしょうか。

ソニーグループ全体として、引き続きグリーン電力の取り組みに注力していきたいですね。

ほかにお話しておきたいことがあれば、ぜひお願いします。

ソニーでは、市販されている電池や充電器の売り上げの一部を「そらべあ基金」として、グリーン電力の啓発などを行っている事業団体への寄付という形で支援しております。ソニー製品のパッケージに「そら」と「べあ」という熊のキャラクターがデザインされ、お客様の身近なところでも環境問題への意識を持ってもらいたいという願いが込められています。

売り上げの一部は、保育園や幼稚園の太陽光発電システムを設置するために活用されているのです。これによって地球環境教育支援という形で、園児たちがエネルギーの大切さや地球環境問題に関心を持つきっかけになればと考えています。現在では3ヶ所の保育園や幼稚園に、太陽光発電システムの設置が決まっています。

ソニーグループの株式会社ソニーマガジンズでは、「そらべあ」の絵本を作成しているのですが、その絵本をイベントなどでお子様にお配りしています。「そら」と「べあ」は北極に棲む熊の兄弟なのですが、気付いたら周辺の氷が溶けてしまっていて、お母さんとはぐれてしまった……というところから話が始まります。どうしてお母さんと離れてしまったのかを考えながら、お母さんを探していくなかで環境問題を意識してもらえるようなストーリーになっています。最初は泣いているだけだった「そら」と「べあ」ですが、最後には笑顔になるようにという願いが込められています。「この涙を止められるのは、あなたです。」ということで、電池や充電器の売り上げの一部が太陽光発電システムの設置に使われることにより、「そら」と「べあ」がハッピーになりますよとお伝えする当社Webサイトの「そらべあ」のページがありますので、ぜひご覧になってください。

そらべあ

同じように環境教育にポイントを置いた取り組みとして、デザインコンセプト群「odo」というものがあります。これは、使いやすいという視点に立った製品の企画や設計の考え方をさらに発展させ、持続可能性を意識した製品をソニーから発信することはできないかというロサンゼルスのデザインセンターの問題提起から始まった、ユニバーサルデザインとエコデザインのコンセプトを統合したサステナブル・デザインのプロジェクトです。まだ実験的な取り組みのため、「odo」を商品化する予定はありませんが、環境教育の面で活用できないかと考えています。

「odo」は全て植物性プラスチックで作られる予定で、手動発電(キネティックエンジン)によって電力を確保する仕組みとなっています。「odo」シリーズのなかに穴が2つ開いているデザインのものがありますが、これはデジタルカメラを想定しています。その穴に指を入れて回すことによって発電し、熱が蓄えられたところでボタンを押すと写真を撮ることができるというように、子供たちに遊びながら電気の仕組みや環境について考えてもらうことを想定しています。

odo

当社は美しい映像であったり、エンターテイメントの分野に力を入れています。ソニー全体としては、「感動も環境もあきらめない」ということを目標にしていきたいですね。美しい映像といった製品の質は落としたくない。でも、環境問題についてもしっかり取り組む。そのことが、今後の当社の姿勢になるのではないかと思います。

今年6月に、経済産業省エネルギー庁設立の「グリーン・エネルギー・パートナーシップ」会長に当社社長の中鉢が就任いたしました。「グリーン・エネルギー・パートナーシップ」は製造・小売事業者やグリーン電力発電事業者、グリーン電力証書発行事業者、消費者代表など様々な関係者が連携して、国民運動としてグリーン・エネルギーの導入を促進することを目的として発足しました。ソニーとしてはこういった活動などへの協力を含め、広く環境問題に対して取り組んで行きたいと考えています。

餌取様 大屋敷様 金井様 山邉様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。製品の質にも環境への配慮にも妥協しない姿勢に脱帽です。


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