日本電気株式会社(NEC)

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「NEC環境経営」による持続可能な社会の実現-“IT、で、エコ”

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日本電気株式会社(NEC)

環境の取り組みに対する今後の方針についてお聞かせください。

「NEC環境経営ビジョン2010」のCO2排出量を実質ゼロにする目標を、1年前倒しで達成できたというお話をいたしました。

そこで、今年(2010年)6月には、新たな環境経営目標として「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」を策定しました。

“人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー”を目指す、「NECグループビジョン2017」というものを2008年4月に策定しているのですが、それを環境面から具現化するものが「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」です。中期目標として「NECグループビジョン2017」と同じ(あえて2020年ではなく)2017年度に合わせた形で設定し、さらには長期目標として2030年度についても設定しています。

具体的な目標は、まずは“社会全体のCO2削減にITソリューションで貢献すること”と“製品のエネルギー効率の改善”という、低炭素の視点から2つです。

そのほかに、今年(2010年)は生物多様性年ということで注目される“生態系・生物多様性保全に向けた活動を強化する”という視点と、“資源循環や省資源の推進”という視点を加えた合計4つが、「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」の具体的な目標となります。

ITソリューションでの貢献では、2017年度には1,500万トンのCO2削減効果を実現し、2030年度で5,000万トンのCO2削減効果を実現するという目標を設定しています。この実現のためには、人々の活動の全分野(働く・移動する・生活する)において、NECがITソリューションを提供していくこととなります。

製品のエネルギー効率では、いわゆる省エネ化を進めていきます。2017年には全製品の加重平均で80%の改善、製品群個々では70%の改善を実現します(※2005年度製品比)。さらに、2030年では全製品の加重平均で90%の改善、製品群個々では80%の改善の実現を目指します(※2005年度製品比)。このようにエネルギー効率を高めた、使用段階でCO2の発生を抑制する製品を出していく予定です。

生物多様性という観点では、定量的な数字ではないのですが、「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」の策定と合わせて、「NECグループ生物多様性行動指針」というものを制定しました。これに基づいて、当社では生物多様性における活動内容を充実していこうと考えています。

具体的には、本業においての活動ということで、地球観測衛星による宇宙からの観測技術や、無線センサー端末による自然生態系モニタリングなど、生物多様性に貢献する技術やソリューションを提供してきます。

また、先述したような植林や「NEC田んぼづくりプロジェクト」など、生物多様性に貢献できる先進的な活動の充実化を図っていきます。

資源循環や省資源の推進においては、2017年度に全ての主要製品(※)にバイオプラスチック(難燃性バイオプラスチック「Nucycle™」)を導入することが目標です。これにより、石油資源の枯渇問題に貢献します。

※一部、バイオプラスチックでは性能を維持することができない製品は対象外となる。

「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」を基に、年度の活動計画への落とし込みを行っており、この行動計画の実現に向け活動を推進していくわけです。

これだけは話しておきたいということはありますか。

当社で環境に対する取り組みを行っているなかで、トップダウンの活動は重要であるのはもちろんですが、最終的には全プロセス・全事業領域で取り組みを行うことが必要であり、社員一人ひとりの環境意識が高くなければならないと考えています。

そのため、NECでは2010年度に全社員が環境意識の高い人材である「エコ・エクセレンス」となることを目指しています。なかなか難しいとは思いますが、そのような目標を立てることにより、持続可能な事業経営(環境経営)促進のための基盤を形成していくことを図っています。

このような環境経営に向けた人材育成は、大きく環境教育と意識啓発に分かれています。業務に直結した環境教育と、「NEC田んぼづくりプロジェクト」のように業務とは少し離れた活動による意識啓発の両輪により、環境人材を育成していきたいと考えています。

2008年4月に策定した「NECグループビジョン2017」では、人と地球に優しい情報社会に貢献していくという、当社が目指す方向性を明確に打ち出したことは既に紹介しましたが、それを環境面から具現化する「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」の実現には、PDCAサイクルを意識しながら着実にスパイラルアップさせていくことが重要ですので、着実に進めたいと思います。

また、ICT(※)というのはひとつのツールではありますが、それを上手に活用することで初めてライフサイクルやワークスタイルなどを変革することが可能なので、そのようなイノベーションをNECから起こし、低炭素社会の実現に貢献していくことができればと考えています。そのような思いを持ち、これからも環境への取り組みを続けていきたいですね。

※ICT(Information and Communication Technology)=情報や通信に関連する技術一般の総称であり、ITとほぼ同じ意味で用いられる。

斎田様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。純米日本酒「愛酊で笑呼」、おいしくいただきました。


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