ライオン株式会社

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河川の発泡問題と植物原料の界面活性剤「MES」

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ライオン株式会社

代表的な環境に配慮した製品に「トップ NANOX(ナノックス)」がありますが、その特徴についてお聞かせください。

環境への配慮という点では、洗濯用洗剤は一番取り組みが進められているのではないかと思います。先述した「MES」は、当社では世界標準にすることを目指しています。

従来の粉洗剤でも環境対応をかなり行っていたわけですが、2010年1月に発売された「トップ NANOX(ナノックス)」でも、環境対応ということを前面に出しています。植物由来の液体の洗濯用洗剤であり、洗浄力を飛躍的に高めることを実現しました。

トップ NANOX(ナノックス)

洗浄力を飛躍的に高めることができたというのは、同じ洗濯物を洗う場合に使用量が少なくて済むことを意味します。具体的には、従来の半分の使用量で済むようになりました。

「トップ NANOX」は、水のなかに高濃度の活性剤を入れても濁らないという点でも優れています。洗剤の濃度を高くする場合、洗剤が固まったり水が濁ったりするという問題があるので、安定的に液体状態を保たせるためにどう工夫するかという点で、各社のアプローチが異なります。当社では、洗剤成分そのものに特殊でオリジナリティの高いものを使い、高濃度でも洗剤成分自体が上手くかつ安定的に液体状態を保つことができるようにしています。それが、主洗浄成分に用いられている「MEE(ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル)」という、「MES」と同じような植物由来の界面活性剤なのです。

「トップ NANOX」は“超コンパクト化”というファクターが大きいため、その点で環境負荷は劇的に減っています。水のなかでも高濃度で安定しているという特長があることに加え、容器の大幅なコンパクト化を実現したことで、トラックでたくさん運ぶ=配送回数を減らすことも可能になります。「商品を通じた環境配慮」のところでお話した、物流のステージでのコスト削減にもつながります。従来よりも軽くなったのでお客様が持ち帰っていただくときに楽であり、店頭でもたくさん陳列することができるというメリットがあります。コンパクト化を実現しましたが、もちろん従来のものと同じ回数分を洗濯することができます。

容器のプラスチック使用量の削減や生産輸送の効率向上などにより、洗濯1回当たりのCO2排出量の削減も実現しました。当社の「トップ クリアリキッド」と「トップ NANOX」を比較した場合、洗濯1回(水30リットル)当たりのCO2排出量を20%も削減することができました(※1990年台と比較すると、約70%もの劇的な削減を実現)。

容器に取っ手のないスクエア型なので空間の無駄がなくなり、製品輸送時の積載効率も同じ本数を運ぶ場合、「トップ クリアリキッド」は2.4台分も必要となりますが、「トップ NANOX」ではわずか1台で済むのです。女性の方が家庭で使う場合に片手で持つことが難しいため、これまでの洗剤の大きさでは「取っ手」が必要でした。ところが、「トップ NANOX」は内容量が500g(※詰め替え用は400g)なので、取っ手がなくても女性でも片手で十分持つことが可能となります。

製品輸送時の環境負荷削減

泡切れがよく、洗浄成分が残りにくいため、すすぎも1回で済みます。通常は洗うときとすすぎ2回で洗濯機を3回動かすことになりますが、その回数も減らすことができるので節水・節電につながります。

「トップ NANOX」はナノレベルの汚れ成分まで落し切る、ナノ洗浄でニオイの元まで分解して落すということを前面に出していますが、環境にもとても配慮している商品であり、製造という部分だけではなく、使用していただくご家庭でも環境を意識している、家事にも優しい洗濯用洗剤なのです。そのようなこともあり、おかげさまで販売して2年経ているのですが、かなり売り上げが伸びています。ライオンでは韓国でも、超コンパクトな液体の洗濯用洗剤を販売しています。ほかには香港でも発売されており、液体洗剤は日本だけでなく、グローバルに展開しているわけです。

最初に当社でコンパクト洗剤を開発したとき、「1回の洗濯で使用する洗剤の量はこれだけで十分です」という説明をお客様の前で行って反応を見るのですが、「大丈夫なの?」という声をよくいただきます。でも、実際に使用すると納得していただけるようですね。


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