東日本高速道路株式会社

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自然に環境に関する取り組みは始まった

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東日本高速道路株式会社

地球温暖化防止への貢献として、高速道路ネットワーク整備による環境改善がありますが、その具体的な内容についてお聞かせください。

高速道路ネットワーク整備は、地域社会の発展と暮らしを支え、地域間の交流の活性化や産業の振興などの効果を生み、災害代替機能の確保、救急救命活動などにも貢献するものです。さらに、高速道路は自動車が安定した速度で走行可能となるため、一般道路と比較してCO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)、SPM(浮遊粒子状物質)の排出量を削減できます。

これは、自動車の走行速度に比例してCO2排出量が減少する傾向があるため、時速70キロメートルから80キロメートルの一定の速度で走行できる高速道路は、一般道路よりも地球温暖化防止に貢献しているといえます。

高速道路の緑化にも、積極的に取り組んでいるようですね。

前述のように、名神高速道路の開通のころから、本格的に高速道路の緑化へ力を入れています。盛土のり面(※)などの樹林化形成も行っており、1980年ごろから建設区間や既存の開通路線において進めてきた結果、現時点の植樹面積は約3,600ヘクタールとなりました。

※人工的な斜面のこと。

このような樹林化を進め、周辺の既存樹林とつながることにより、さまざまな生物の移動空間としての機能を果たすほか、消失した緑地の代替や周辺の生物の生息・生育できる環境になり、生物多様性への貢献にもつながると思っています。

盛土のり面などの樹林形成  (左)植樹当初(右)樹林形成の状況

高速道路の緑化は自然環境だけでなく、走行環境などへ及ぼす影響にも関わってきます。高速道路の樹林には、空気の浄化や騒音の遮断(緩和)という「環境保全機能」があるのはもちろん、ドライバーの視線の誘導や遮光という走行環境の改善などの「交通安全向上機能」も担っています。

また、樹林には季節感豊かな走行環境を生み出すのに加えて、周辺環境との調和を図る「景観保全機能」もあり、周辺景観と馴染ませる調和効果があります。また、インターチェンジ付近に植えればランドマーク(指標)にもなりますし、サービスエリアやパーキングエリアなどに季節感のある樹木を植えれば、お客様の目を楽しませてくれます。

しかし、単に植えて終わりというわけではなく、緑化の機能を発揮させるためには維持管理などのメンテナンスが必要です。そこで、NEXCO東日本では植栽点検や草刈り、間伐などによる計画的な管理を実施しています。

放っておくと密生してしまい、日光が遮られることなどが原因で枯損や生育不良が起こり、きれいな形で育たないのです。そこで、ある程度の間伐や剪定(せんてい)をして、適度な密度となるように計画的な管理をしています。植えてしまえば終わりではないという点は、当社では自信を持って述べることができます。

植樹を行う場所の選定基準などはあるのですか。

当社では、道路と環境の調和を図るために環境の保全・復元および良好な道路景観の形成、さらに道路交通の快適性・安全性の向上を目的として道路緑化を行っています。簡単に言えば、道路敷地の全てが対象であり、基本的に土のあるところであれば植樹は可能です。中央分離帯やインターチェンジのループ内の土地だけでなく、サービスエリアやパーキングエリアでも緑化を進めています。

場所によって、植える樹木の種類を意図的に変えているのですか。

道路緑化の果たす機能・役割には一言では言えないほど多種あります。当社では標準的なマニュアルを整備していますが、周辺植生にマッチした樹種を選択するのは当然として、必要とする機能を最大限に引き出し、植樹する場所の特性なども考えながら、樹種を選んでいます。機能・役割を最も良い形にすることが、技術者の腕の見せどころとなります。

植樹を行うに当たって注意すべき点はほかにありますか。

車両の走行に支障を及ぼさない、照明や標識などを隠さないよう植樹することは当然ですが、例えば、出入口となるインターチェンジから高速道路に入って来る車との合流部分で、視認性を確保するために植栽を一定距離施さないなど、車を運転する方の安全性の確保を第一に、きめ細かなルールを設定しています。

「ecoインター」や「ecoエリア」の取り組みを行っているそうですが、これらはどのようなものなのですか。

「ecoインター」や「ecoエリア」の取り組みを始めたのは、昨年(2011年)からです。近年は、太陽光発電による自然エネルギーの活用やLED照明のような省エネルギー商品への注目が高まっていますが、それらを積極的にインターチェンジやサービスエリア、パーキングエリアに取り入れてみてはどうだろうという意見がきっかけでスタートしました。

太陽光発電システムやLEDを使用した「標識」や「道路情報板」、発光効率の高いセラミックメタルハライドランプを使用した「道路照明」や「料金所ゲート照明」などを導入しています。ただし、太陽光発電システムは、地域によって気候・気温・日射量・日照時間などが異なるので、それを踏まえたうえでとはなりますが。

サービスエリアやパーキングエリアでも、太陽光発電システムやセラミックメタルハライドランプを採用した「駐車場照明」、保水力に優れたブロックにより歩道の温度上昇を抑制する「保水性インターロッキング」などを導入しています。また、休憩施設ではトイレには節水型便器を、照明にはLEDなどを使用し、屋根には夏場の室内温度上昇を抑える「遮熱塗装」を採用しています。

このように、現在登場している環境技術を積極的に取り入れていこうというのが、「ecoインター」や「ecoエリア」を行う目的となります。

北関東道の足利インターチェンジ


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