株式会社モスフードサービス

サービス・その他

「環境推進グループ」の誕生がきっかけ

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株式会社モスフードサービス

ごみの削減と食品リサイクルについても取り組んでいるようですね。

そもそも、店舗で出る生ごみや食べ残しごみの量が少ないうえ、お客様から注文をいただいたあとに調理をする「アフターオーダー方式」を創業当時より採用し、作り置きのロスも発生しない仕組みが整備されています。この方式は、速さを売りとするこの業界では珍しいものでした。また、仕入れの段階で調整することにより、倉庫から出る廃棄物の量も大幅に削減しています。

そのため、発生する野菜くずの量は、モスバーガー1店舗1日あたりでわずか6kgほど、コーヒーかすでも1.8kg程度です。個々の店舗で回収してもらうとなると、逆にコストがかかってしまい、乾燥させるためのコストや場所的な問題もあるので、焼却するしか適正な手段がないのが現状です。

お客様のほうでも残さずお召し上がりいただいていることもあり、しかも陶器製などの容器を使っているので、出るといえば納品の際のダンボールや、ハンバーガーなどを包んでいる紙のごみぐらいですね。

なお、商品の包装紙については従来よりも軽量化されており、超軽量・省資源仕様となっている「ナンパッケージ」については、「社団法人 日本放送技術協会」が主催する「2010日本パッケージコンテスト」で「適正包装賞」を受賞しています。

ナンパッケージ

店舗で食品ごみが少ないというのは、意外で驚きました。

食品ごみを出さないというのは当社に限ったことではなく、業界全体の流れといえるでしょう。他社さんでも店内調理ではほとんど残さを出していませんね。

調理に油を使っているので廃食油は出ますが、実は油というのはリサイクルにおいては“優秀な液体”であり、ほぼすべてをリサイクルに活用することが可能です。廃食油は業者さんが(名目上は産業廃棄物として)回収し、主に肥料や飼料として生まれ変わります。割合としては少ないのですが、最近はバイオディーゼルの燃料などにもリサイクルされています。

ごみの量が少ないという点で、コストをかけることなくどのようにリサイクルを進めていくかが、今後の課題といえるでしょう。

貴社では、ハンバーガーやコーヒーについてLCA評価計算を公表されていますね。

LCA評価計算を公表するきっかけは、「社団法人産業環境管理協会」さんや「財団法人 日本環境協会エコマーク事務局」さんから、物流に関する「エコリーフ環境ラベル」を取得してみないかというお話をいただいたことです。当社以外の数社にもお声がけをしていたようですが、一般に物流というのは複雑であり、環境負荷を具体的な数値で表すことは難しいと考えられていたので、協力できるところは見つからなかったようです。

しかし、幸いなことに当社の物流はトレースができる状態だったため、試しに協力してみたところ、物流において「エコリーフ環境ラベル」を取得することができました。そのうち、社内でハンバーガーができるまでにCO2をどれくらい発生しているのかという、素朴な疑問が出るようになったのです。

物流については前述のようにトレースができる状態であったことに加えて、ハンバーガーというのはバンズ(パン)とパティ(肉)、ケチャップなどの調味料で構成されているので、実はデータを取得しやすいという状況でした。

そのようなこともあり、商品の中身のデータを計算し、物流面のデータと合わせればおおよそのCO2発生量が分かるのではないかと考えたのです。実際に計算してみると、大まかなCO2発生量を算出することができたのですが、次第にもう少し正確なものにしたいという思いが強くなりました。

そこで、東京都市大学環境情報学部の伊坪徳宏研究室との共同研究で、正確に算出してもらうことにしました。その当時、私は担当ではなかったのですが、実際に計算された結果は「日本LCA学会」で発表できるほどしっかりした内容となりました。

それほどのLCA評価計算ということもあり、毎年のコミュニケーションレポートで公表するようになったのです。2008年度ではハンバーガー、2009年度はモスライスバーガーきんぴらで算出したのですが、2010年度にはドリンクに挑戦ということでプレミアムブレンドコーヒーと紅茶のホットドリンク2種類について公表しました。ほかに、セットメニューにおけるCO2発生量もデータとして持っています。

ハンバーガーとモスライスバーガーきんぴらができるまでのCO2発生量 ブレンドコーヒーと紅茶ができるまでのCO2発生量

LCA評価計算によって、サプライチェーンとして考えたときに、どこがどれだけ環境負荷をかけているのか、具体的な数値で分かることになります。現状はデータとして蓄積していこうというスタンスではありますが、将来必要となったときに活用できるはずです。

今後、ほかの商品でもLCA評価計算を公表する予定ですか。

トレースができているとはいえ、バックグラウンドのデータを取得するのは非常に大変であり、ほかの商品でCO2発生量を算出するのは難しいといえるでしょう。でも、機会があれば公表してみたいですね。

ただし、栄養成分や材料の原産地などに興味を持つ方は多いのですが、残念ながらCO2発生量となると興味の薄い方が多いのではないかという印象はあります。

そうはいっても、数値としての環境負荷という結果だけが独り歩きするのはよくないので、誤解を招かないように、企業としてできる限り、皆様に正確に情報を伝えていくことが重要だと思います。


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