王子製紙グループ

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2015年度に向けた環境に関する目標「環境行動目標2015」

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王子製紙グループ

そもそも、紙のリサイクルはどのような流れで行われるのですか。

捨てられた紙がどのように回収され、紙として生まれ変わるのかという基本的な流れについてお話します。

古紙の発生源を大きく分けると、「家庭」と「商店街や印刷所など」などです。それを、町内会や学校・行政・回収業者さんなどが集め、中間業者(古紙問屋)さんのところに送られます。さらに、商社を含む直納業者さんが間に入り、最終的に製紙メーカーに送られます。ただし、一部の古紙については輸出されます。

製紙メーカーでは古紙を機械(パルパー)に投入し、紙を構成している繊維をほぐします。これを「離解」といいます。

次に、古紙に含まれているさまざまな大きさの異物(クリップなどの金属、ビニール)を、機械(スクリーン)で除去し、さらに薬品処理などによりインキを取り除きます。

異物が除去された紙の原料は、必要に応じて紙を白くする「漂白」という処理がなされ、製紙工程に送られて、紙になります。

少々脱線しますが……、紙を捨てる際、新聞紙や段ボール、紙パックなどの分別にご協力いただいていますが、分別をする理由は、基本的に同じ紙をつくるのであれば、同じ古紙が原料として好ましいためです。具体的には、段ボールには段ボール古紙、新聞には新聞古紙ということです。日ごろの分別のご協力に御礼を申し上げますとともに、引き続きのご協力をお願いしたいと思います。

ところで、禁忌品(きんきひん)という言葉をご存知でしょうか。禁忌品とは紙を再生するうえで、いろいろな妨げになるもののことをいいます。

例えば、粘着物(※シールなど)がついた封筒・ビニールコート紙(※ラミネート紙)・写真・合成紙(※木材パルプ以外の化学合成パルプを使用した紙)・捺染(なっせん)紙(※アイロンプリントで利用される昇華転写紙など)・防水加工紙・感熱発泡紙(※点字用紙など)・感熱紙などは、製紙原料に混ざるとトラブルを起こしたり、再生できなかったりします。もちろん、粘着テープ類・金属クリップ・フィルム類・発泡スチロールなども、製紙原料に適さないものです。これらは、製紙原料とは別に、廃棄物として適正に処理されます。禁忌品が混ざらないよう、皆さまのご協力をお願いしたいと思います。

難処理古紙の利用が可能とのことですが、それにより製紙原料に適さないものもリサイクルできるのではないですか。

難処理古紙の利用は、前述した古紙のリサイクルの延長線上にあるといえます。紙の繊維をほぐす機械や基本的な流れは変わらないのですが、処理時間を長くしたり、あるいは異なる薬品を使用したりすることにより、従来では再生が難しく、廃棄物や燃料となっていた古紙もリサイクルが可能です。

ただし、完全に除去できないものもあり、禁忌品などとの分別にぜひご協力いただきたいと思います。

古紙の利用率はどれくらいになるのですか。

紙の原料は木質チップと古紙ですが、2010年度の古紙利用率は62.4%です。その他の37.6%は、木質系のチップという原料です。

ただし、これは新聞紙や段ボールなどの古紙の平均利用率です。段ボールのみの場合は約95%という高い利用率です。一方、純度の高い白さを求められるものや異物混入量の管理が厳しく、高い品質を要求される紙については、古紙の利用率が低くなります。

皆さまのご協力もあって日本の古紙「回収」率は78%という高い割合を占め、世界のトップレベルです。さらなる古紙利用率の向上のために、古紙回収システムの整備や古紙再生技術の向上にも取り組んでいきたいと考えています。

再生紙は、新しい紙と同等の品質なのですか。

基本的には、再生紙でも同等の品質を維持することは可能です。しかし、何度も再生すると紙の品質(強度)は低下していきます。

また、インキを使用した古紙を再生すると、「チリ(塵)」と呼ばれる小さな異物が表面に残ることがあります。

古紙の利用を推進するため、要求される品質を満足できるようにいろいろと工夫しています。


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