三菱自動車工業株式会社

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自動車はそもそも環境負荷の大きな商品

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三菱自動車工業株式会社

CO2排出量削減に対する取り組みについてお伺いします。まずは、国内ポスト新長期排出ガス規制適合ディーゼル車の「クリーンディーゼルパジェロ」についてお聞かせください。

国内ポスト新長期排出ガス規制(※)適合ディーゼル車の「クリーンディーゼルパジェロ」は、以前のモデルと比較して、燃費では6%向上しており、CO2に換算した場合では5.7%も改善されています。また、馬力やトルクの性能についても、従来の新長期規制対応車に比べると向上しています。

【参考データ】

Long Diesel車(Exceed):
燃費 10.0km/L ⇒ 10.6km/L(10・15モード)
最大トルク 370N・M ⇒ 441N・M

※ポスト新長期排出ガス規制=ディーゼル車を対象とした、世界的にも非常に厳しい、平成21年排出ガス規制を指す。

 クリーンディーゼルパジェロ

「ディーゼル規制」において厳しいのは、PM(Particulate Matter/粒子状物質)とNOx(nitrogen oxide/窒素酸化物)の排出基準です。当社ではDPF(※1)といいう技術を採用することにより、「新長期規制(平成17年排ガス規制)」に適合している旧型車でも、パティキュレート(※2)の問題については世界で最も厳しい排気ガス規制といわれる「ポスト新長期規制(平成21年排出ガス規制)」の基準値を満たしていました。

※1:DPF=「Diesel particulate filter(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)」の略。ディーゼルの排気ガス内の微粒子状物質(発がん性のある有害物質などを含む)を減少させる装置。

※2:ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微粒子状物質(すす)のこと。PM(Particulate Matter)と呼ばれる。

さらに「ポスト新長期規制」に適合させるため、NOxの低減対策として、当社では「NOxトラップ触媒」という仕組みを採用しています。これは、排出ガス中のNOxを一度触媒のなかに吸蔵させ、蓄積したNOxが飽和量に近づくと、排気燃料添加インジェクターにより燃料を供給して、吸蔵したNOxを無害な窒素などに還元するものです。

続いて、アイドリングストップ車「コルト Clear Tec AS&G」についてお聞かせください。

「コルト Clear Tec AS&G(※)」は欧州市場に向けた製品なのですが、アイドルストップシステム(アイドリングストップシステム)を搭載しています。すでに、欧州では1年以上前から販売されています。

※AS&G=Auto Stop&Goの意味。

 コルト Clear Tec AS&G

CO2排出量でいえば、従来の車と比較して1.1L車で約13%、1.3L車で約15%の削減を実現しており、環境性能は向上しています。

技術的な観点からすると、アイドルストップは頻繁にエンジンの始動を行うため、バッテリーへの負荷が高いという問題があります。また、エンジンが停止するとエアコンもストップするため、搭乗者が不快に感じてしまうわけです。

そこで、「コルト Clear Tec AS&G」ではアイドルストップ用のエアコンなどを開発し、エンジン自動停止中でも快適性を損なうことのないような工夫をしています。また、クラッチを踏めばすぐにエンジンがかかる、ブレーキの油圧を保持するなど、運転時の違和感をなくす技術も採用しています。

欧州市場向けというお話でしたが、日本での展開も考えているのですか。

今後、そのような展開となる可能性はありますね。

そもそも、アイドルストップでは信号待ちからスタートするときにモタモタするのではないかという不安があり、日本のお客様に受け入れてもらえるのかという問題がありました。また、日本ではオートマチック車の割合が高いのですが、「コルト Clear Tec AS&G」はマニュアル車をベースにしています。CVT(Continuously Variable Transmission/無段変速機)のタイプもあるのですが、ATやCVTの仕様となると少し技術的に難しくなってしまいます。

例えば、ベルト式CVTであればベルトを挟むための油圧を立てなければならないのですが、エンジンがストップすると油圧が低下してしまうため、それを保持する新しい技術が必要になるということです。

そうなると値段が高くなってしまい、お客様が受け入れてくれるのかということにもなるわけですが、他社ではすでにアイドルストップ車を国内で販売しており、お客様の認知度も高まっているため、当社でも遅れることがないようにしたいと考えています。


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