三菱自動車工業株式会社

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自動車はそもそも環境負荷の大きな商品

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三菱自動車工業株式会社

今回の「エコなニュース」は、「i-MiEV」でおなじみの三菱自動車工業株式会社様の取り組みをご紹介。

三菱自動車工業株式会社様では、電気自動車「i-MiEV」やクリーンディーゼル車「パジェロ」など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

CSR推進本部 環境技術部 部長 橋本様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境への取り組みを始めたきっかけについてお聞かせください。

環境への取り組みを始めたきっかけを説明するのはなかなか難しいのですが、自動車というのはそもそも環境負荷の高い製品といえます。そのため、現在のように地球環境問題が注目されるようになる以前のかなり早い時期から、環境への取り組みは自動車会社にとって重要なテーマだったのです。

私は、三菱自動車に昭和53年(1978年)に入社したのですが、当時日本ではモータリゼーションの進展とともに、自動車による大気汚染の問題が深刻になり、排気ガスの規制(昭和53年規制)が大幅に厳しくなりました。入社した頃は、キャブレター(※)のエンジンでしたが、触媒が量産車に採用されるようになった時期かと思います。

※キャブレター=燃料(ガソリン)と空気を混合し、エンジンに送り込む装置。

当社では、自動車が好きで入社したという人が多いのですが、三菱自動車は当時からラリーで強いことで有名で、「ジョギン・ダ・シン」や「アンドリュー・コーワン」などの活躍をTVなどでリアルタイムに観て入社したのが、私たちの世代です。

キャブレターの自動車のころは、空気と燃料の調整を手動で調整できましたので、ラリーが好きな走り屋などは、馬力を出すために燃料を濃く調整することなどもやっていました。しかしその後、排出ガス規制への対応のため、キャブレターに代わって電子制御の燃料噴射装置や、触媒などの排出ガス浄化技術が開発され、広く採用されるようになりました。

※触媒=排気ガス中に含まれる有害な成分(一酸化炭素や窒素酸化物など)を、無害なもの(水や二酸化炭素、窒素など)に浄化させる装置。

三元触媒というのは、排出ガス中の有害成分を酸化と還元により浄化するので、空気の量が燃料の量に対して適正でなければ上手く働かないのです。触媒の技術と燃料噴射の技術の両方が進歩したこともあり、現在では排出ガスは以前と比較して大幅にクリーンになっています。そのため、当社では「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」の認定を受けた4つ星(☆☆☆☆)の車が、現在のラインナップのほとんどを占めています。

話を戻しますが、自動車会社の環境への取り組みというのは、製品の環境負荷が大きいがゆえに、製品における対策というのが大きなウェイトを占めることになります。そのようななかで、昔は排出ガス対策が中心でしたが、最近では地球温暖化への対応としての燃費向上や、エネルギー政策としての脱石油化ということで、電気自動車やバイオ燃料対応車などの取り組みを進めてきました。

このように、環境への取り組みのきっかけといえば、そもそも自動車というのは環境負荷が高く、一般消費者が使う耐久消費財のなかではエネルギーを最も消費するということを、大きな理由に挙げることができるでしょう。

環境への取り組みとして、環境指針というものを策定なさっていますが、そちらについてお聞かせください。

三菱自動車では、1999年に環境指針を策定しました。当時は環境庁が環境省へと組織改編するなど、社会的にも環境への取り組みというのが企業に求められるようになってきたころです。

環境指針は、当社の企業経営における環境保全への取り組みを明確化したものです。そのなかでは、環境保全が三菱自動車における最重要課題のひとつであると認識し、継続的に環境保全に取り組むこと、そして、マネジメントとパフォーマンスの両面において積極的な取り組みを進めることを宣言しています。

この環境指針の策定時期は古いのですが、内容的にはそれほど世の中の流れによって変わるものではないとも思っています。そのため、現在(2010年)まで内容は変更していません。ただし、当社では生物多様性の保全を重要な取り組みと考え、「三菱自動車グループ生物多様性保全 基本方針」というものを、今年8月に新たに策定しました。

環境指針のなかでは、地球温暖化の防止・環境汚染の防止・省資源・リサイクルなど、現在でいえば循環型社会や低炭素社会の実現といった、普遍的なテーマに取り組んでいます。

「三菱自動車グループ生物多様性保全 基本方針」の策定は、やはり今年が国際生物多様性年ということを踏まえてのことなのですか。

そうですね。また、今年(2010年)は名古屋で「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が開催され、経団連(社団法人 日本経済団体連合会)などでも企業に対してそのような取り組みを呼びかけていることも、理由として挙げることができるでしょう。

「三菱自動車グループ 環境ビジョン2020」についてもお聞かせください。

「三菱自動車グループ 環境ビジョン2020」は昨年(2009年)に策定したのですが、そのなかでは“EV で先駆け、『人と地球との共生』を目指す”ことを表明しています。

2020年の具体的な目標として、EV(電気自動車)事業を当社の基幹事業のひとつに育て、EVやPHEVの生産比率を20%以上とすることも含め、製品使用時のCO2排出量を50%削減する(※2005年比)ことや、生産における1台当たりのCO2排出量を20%削減する(※2005年比)ことを掲げています。

現在、2011年以降の経営計画を策定中ですが、それと合わせて環境目標についても検討しているところです。今年中には環境に関する2015年の中間目標や中期計画を発表する計画です。

コミュニケーションワードとして「Drive@earth(ドライブ・アット・アース)」というものがありますね。

「Drive@earth(ドライブ・アット・アース)」という言葉には、地球と共生するという意味合いが込められています。直訳すると「地球上での走り」となるのですが、当社では「地球のことを考えた上での走り」や「地球上あらゆるところでの走り」という意味で用いられます。

この言葉には、“地球を走る・地球と生きる、をテーマに、地球環境に配慮しながら、地球上のさまざまな地域のお客様に走る歓びを提供する。”という、当社の決意と想いが込められているのです。


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