株式会社明治

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事業再編を機に生まれ変わった「環境理念」と「環境方針」

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株式会社明治

今回の「エコなニュース」は、「きのこの山」と「たけのこの里」でおなじみの株式会社明治様の取り組みをご紹介。

株式会社明治様では、「アグロフォレストリーチョコレート」や「根室自然環境保全区」の活動など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

  • CSR推進部
    副部長
    CSR推進グループ長
    宮川様
  • CSR推進部
    生活環境グループ長
    明石様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。

前提として経営体制についてお話しさせていただくと、当社は2009年4月1日に共同持株会社「明治ホールディングス株式会社」を設立し、明治製菓株式会社と明治乳業株式会社が経営統合されました。そして、2011年4月1日にグループ内再編を行い、明治グループの食品事業を担う会社として明治製菓のフード&ヘルスケア事業と明治乳業の乳製品事業が統合して、「株式会社明治」が発足しました。

そこで、環境の取り組みを始めたきっかけについては統合以前の内容も含まれるので、明治製菓と明治乳業に分けて説明させていただきます。

明治製菓では、1991年4月に環境事業を統括する責任部署として工務環境部が発足しました。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで第1回の国連地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)が開催された翌1992年に、社会的な関心の高まりもあって環境に関する取り組みをスタートしたようです。

1994年9月には全社環境委員会が発足し、同年11月に環境理念と環境保護行動指針を制定しました。

明治乳業でも、1991年に環境対策室というものを設置し、環境対策委員会が発足しました。翌年には、環境対策基本理念と行動倫理基準を制定しています。

その後、1995年に容器包装リサイクル法(※正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」)が制定されたのに合わせて、環境対策室は生活環境室へと名称を変更しました。

以前より乳業というのは、富栄養化物質による水質汚濁という可能性はあるにしても、重化学工業系の企業と比較して、水俣病や砂漠化に代表される環境を荒廃させるような、社内的にも環境に悪影響を与えるビジネスというイメージはありませんでした。

もちろん、明治乳業では企業として富栄養化に対する廃水処理を十分に行い、法律も順守しているので、特に従業員にも環境に対する意識はなかったようです。自然由来の原材料である牛乳から製品を製造・販売しているので、むしろ環境に悪いはずはないという意識のほうが強かったかもしれません。でも、実際には製品を冷やす際にエネルギーを使うし、運搬でもCO2を排出してしまうわけです。

当社は飲料(液体)製品を数多く扱っているので、販売には容器が重要です。そのため、容器包装リサイクル法の制定後に本格的に環境への取り組みを始めていこうという方針になったのではないかと思います。そのようなこともあり、最初に軽井沢・群馬工場でISO14001の認証取得した1998年以降、積極的にほかの工場や事業所などでも認証取得を進めていきました。

ISO14001の認証取得工場が増えていくにつれ、全社的に環境に対する意識が拡大していったように思います。2000年には京都工場と兵庫工場で、翌2001年も次々と工場・事業所でISO14001の認証取得を果たしました。

まずは食の安心・安全が最重要なので、それらのバランスを維持しつつ環境の取り組みを行うのは難しい部分もありました。

ちょうどそのころでしょうか、ダイオキシン類による環境汚染が社会的な問題となり、当社でも工場の焼却炉を廃止しようという流れになりました。しかし、焼却炉をなくすと廃棄物が溢れてしまいます。ごみの分別の問題もあって、廃棄にかかる費用が次第に大きくなっていきました。実は、牛乳は薄利多売な製品ということもあり、利益があまり出ないなかでコストダウンをする必要がありました。

そこで行ったのが、廃棄物のリサイクルです。当時はISO14001においてもごみの分別をしっかりと行うことが一般的だったので、その意味ではちょうど時流に乗ったといえるでしょう。

現在、北海道の「根室自然環境保全区」において、「財団法人 日本野鳥の会」さんと一緒に槍昔(やりむかし)と牧の内の両地区を合わせた広大な土地(※467.3ha)で、野鳥保護のボランティア活動などを行っています。

エコプロダクツ展のブースや北海道の自然環境フェアなどで紹介している以外に、特に大々的なPRや販売活動への利用は行っていないので、社内でも当該活動を意識している人は少ないのではないかと思います。

やはり、前述のように食の安心・安全が最重要であり、ヨーグルトに含まれる乳酸菌に代表される食と健康のかかわりを、積極的にコマーシャルなどで訴えています。この点は、今後も変わることはないでしょう。

しかし、せっかくの活動を何もアピールしないのはもったいないので、今年(2011年)から明治グループで発行している「ECOアップレター」という環境コミュニケーション誌で、「根室自然環境保全区」の取り組みを紹介しています。この取り組みの詳細については後述します。

環境理念や環境方針を策定されていますが、その内容についてお聞かせください。

前述のとおり、明治製菓では全社環境委員会が環境理念と環境行動指針を、明治乳業では環境対策室が環境対策基本理念と行動倫理基準を制定しました。これらが、現在の明治グループの「環境理念」や「環境方針」のベースとなっています。

2011年4月1日のグループの事業再編を機に、それぞれで制定した環境理念と行動指針を持ち寄り、環境保全活動や生物多様性をより強く意識した新たな「環境理念」と、その具体的な内容である「環境方針」を制定しました。

「環境方針」では、法令の順守や環境負荷の低減など6つの項目が定められています。特に、「環境負荷低減」と「社会との共生及びコミュニケーション」が、ISO14001の認証取得において経営トップが示さなければならない重点項目です。また、「生物多様性の保全」の項目については、昨年(2010年)に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で開催されたこともあり、社会から企業に求められているトレンドを踏まえて盛り込んだといえるでしょう。


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