キユーピー株式会社

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それは「卵の殻を何かに使うことができないか」から始まった

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キユーピー株式会社

マヨネーズづくりにおける環境配慮についてお聞かせください。

マヨネーズの主要原料である卵を余すことなく、全て活用しています。卵は20日ほど温めると雛が生まれます。生命の源である卵にはたくさんの栄養が詰まっており、無駄なところがひとつもないということが長年の研究から分かってきました。

前述のように、カルシウムがたくさん含まれている卵殻の活用は、土壌改良剤としての販売からスタートしました。さらには、卵殻膜を除去して洗浄し、微粉末化した卵殻を、食品の原料としても利用しています。カルシウム強化を目的として自社の育児食に添加したり、食品原料として「カルホープ」という商品名で販売をしています。「カルホープ」はパウダー状になっており、実際に触ってみると、卵の殻とは思えないほどサラサラしているのが特徴です。

卵殻を利用した育児食
カルホープ

卵殻はほかにも、石灰の代わりにグラウンドに線を引くためのフィールドラインや、黒板に文字を書くチョーク(エコチョーク)の原料としても利用されています。このチョークはリサイクル商品ということで、エコマーク認定商品・グリーン購入法適合商品としての認定を受けています。

卵殻膜を除去しないまま卵殻を荒く砕くと、摩擦材としてスタッドレスタイヤや靴のゴム底の滑り止めとしても利用できます。このように、工業製品としても活用できるのです。

また、近年開発されたのが、内装用の壁紙への有効活用です。卵殻は多孔質構造になっており、小さな穴がたくさん空いています。この構造を利用することで、壁紙に臭いを吸着したり、余分な湿気を吸収することができると言われています。

卵の殻の内側には薄い膜があり、卵殻膜と呼ばれています。ゆで卵の殻を剥く際に見る薄い膜と言えばお分かりいただけるでしょうか。最近では卵殻膜を細かく砕いて溶かし、化粧品などに利用する研究が進められています。昔から、卵殻膜はケガしている部分に貼ると傷の治りが早いと言われており、相撲界では常識だったようです(笑)。江戸時代から力士の間で言い伝えられていたそうです。このように、皮膚との親和性が高い卵殻膜の、完全には解明されていない機能性に注目が集まっています。

また、卵殻膜はシスチンなどのアミノ酸を豊富に含んでいるため、コクを加えるためにドレッシングの原料にも使われています。さらに、卵殻膜には滑らかさがあるので、車のシートやアームレスト、衣類などの素材としても利用されています。

このように、さまざまな分野で有効活用が可能であることが研究によって分かってきており、今後の用途拡大が楽しみな素材です。

卵は捨てるところがない万能プレイヤーですね!

そうですね。卵は捨てるところがない素晴らしい食材だということを、多くの人に知ってもらいたいですね。その意味でも、当社の卵の取り組みは重要だと考えています。キユーピーの環境への取り組みにおける象徴とも言えるでしょう。

キユーピーでは、年間でどれくらいの卵を使用するのですか。

グループ全体で、年間で扱う鶏卵は25万トンです。日本国内で年間に使用される卵は250万トンですから、キユーピーグループで全体の10%を占めているわけです。そして、年間で扱う卵殻は2万トン以上になります。一部、ゆで卵など殻のついた製品(※殺菌済み)もあるので、全部の卵を割っているわけではないのですが、かなりの量となることはお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、キユーピーグループ全体で扱う卵は数にすると約42億個にもなり、それらをつなげると地球を6周もする長さ(約25万キロメートル)となります。

食品の残さのリサイクルもなさっていますね。

食品残さに関しては、研究段階の取り組みがいくつかありますが、そのほとんどは堆肥(たいひ)や飼料として活用していただいています。


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