キーン・ジャパン合同会社

メーカー

西表島の自然と文化を守るプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE」 キーン・ジャパンが目指すCSRとは?

名称未設定-1

キーン・ジャパン合同会社

西表島の“明日”のためにできることを考えるプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE」がスタート!

環境への想いが込められているのですね。今回立ち上げられたプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE」の活動について教えてください。なぜ西表島を選ばれたのでしょうか?

2017年の晩夏に、撮影で石垣島を訪れたことがきっかけで西表島にも立ち寄りました。非常に美しい自然に驚きましたね。現地の方にお話をお伺いする機会があり、西表島の環境問題、危惧されているオーバーツーリズムについて知りました。2017年当時、沖縄県は沖縄島北部と西表島の世界自然遺産登録を目指していて、ユネスコに名乗りを上げたタイミングでした。世界自然遺産に認定されると観光客がさらに増える可能性がある、すると更にオーバーツーリズムが加速することが懸念されるというお話を聞いて、私たちが関心を持ったことから今回のプロジェクトに繋がりました。

西表島の自然 写真1西表島の自然 写真2

西表島の自然(C)choji Nakahodo

西表島が直面しているオーバーツーリズムによる影響や環境問題は、具体的に何が挙げられるのでしょうか。

多くの観光客が奥地に訪れることで植生へのダメージがおきたり、“インスタ映え”するポイントに沢山の人々が集まる傾向があったり。交通量の増加による、絶滅危惧種のロードキルも問題視されています。

白川郷や屋久島なども、世界遺産になったことで観光客が倍増していますよね。西表島も、世界遺産になることで、現在およそ年間30万人訪れている観光客が、今後倍以上に増えていく可能性があると言われていて、その影響で上記のような環境負荷がさらに加速してしまうことを懸念しています。

「Us 4 IRIOMOTE」の由来、プロジェクト名に込められた想いについて教えてください。

西表島は非常に神秘的な島で、独特な文化を持っています。地元の方々が継承する伝統的な祭祀や生活文化を通じて自然との共生を重んじていて、古くからのしきたりには異国の雰囲気を感じるほどです。「Us 4 IRIOMOTE」の「Us」は「私たち」「明日」を、「4」は「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」の4つのキーワードを意味しています。西表島の自然環境と文化を守るために、西表島の今を生きる人びとと共に学び、考え、次世代に伝えていきたいという想いが込められています。

Us 4 IRIOMOTE

「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」の4つのキーワードに沿ってお話を聞かせてください。「知ろう」をキーワードどんなことを行っているのでしょうか。

西表島の自然環境と生態系に配慮した歩き方を「知ろう」ということをコンセプトに、野外活動の環境配慮プログラムである「LNT(Leave No Trace)」のワークショップを各地でおこなっています。自然と親しむ“マナー”のことで、「LNT」を日本で普及している団体の「WEAJ」さんと一緒におこなっています。つい先日も、西表島で活躍するガイドさんに向けて、LNTワークショップを開催しました。

また、「全国キャラバン」と称し、LNTのインストラクターが、軽トラックに乗り全国を巡り、各地でワークショップを開催しています。1人でも多くの方に、自然環境に配慮した歩き方を知っていただければと思っています。

「守ろう」というキーワードで取り組んでいる「やまねこパトロール」の具体的な活動内容について教えてください。

「やまねこパトロール」はNPO法人JTEFトラ・ゾウ保護基金さんが展開するプロジェクトです。彼らは、イリオモテヤマネコのロードキルを防止する活動をおこなっています。
Us 4 IRIOMOTEの助成金を使って、彼らの活動をサポートしています。

イリオモテヤマネコは西表島に100頭程しか生息しないと言われる希少な種で、国の天然記念物であり、絶滅危惧種です。2018年には10頭近くが交通事故で亡くなっているそうなのですが、観光客が増加すると、交通量も増え、ロードキルが更に増加することも懸念されています。また、西表島内では40km/時が制限速度なのですが、それを大幅に超える速度で走行する車がいて事故の要因の1つになっています。

イリオモテヤマネコのロードキルを防止するための各所の看板 写真

イリオモテヤマネコのロードキルを防止するために、各所に看板がたてられている。

私は何度も西表島に行っていますが、イリオモテヤマネコを見たいと思ったことは一度もありません。でも、きっと好奇心で人間は見たいと思ってしまうのだと思います。ですが、神秘的な世界に深く浸っていくと、心の中に秘めておきたいと思えてくるんですよね。そういうふうに向き合う人が増えたらいいなと考えています。

「530アート・プロジェクト」とは具体的にどのような取り組みなのでしょうか。

全国的にも問題になっている漂着ごみが、西表島の海岸線にも大量に流れ着いています。そこで、観光で訪れる皆さんで浜辺に落ちている小さなプラスチックのごみを拾って、みんなでアートを作ろうという「YAMANEKO 530 ART(ヤマネコ ゴミゼロ アート)」プロジェクトを立ち上げました。石垣港離島ターミナルの平田観光さんのブースに設置したイリオモテヤマネコ型のアートスタンドにプラスチックごみの小さな欠片を入れていき、「チリも積もればアートになる」というプロジェクトです。展示には多言語で西表島の漂着ごみについての解説を設けて、国内外のツーリストにこの問題を知ってもらいたいと考えています。

「話そう」というテーマで取り組んでいる活動内容について教えてください。

シンポジウムやトークイベントをサポートしながら、西表島の自然や、今ある課題、文化について話し合う機会を作っていく取り組みです。

西表島で大きな課題となっているのは、オーバーツーリズムであることをお話してきましたが、ツーリストが自然や環境を消費して帰ってくるのではなくて、むしろ訪れた先でボランティアをしたり、その土地をきれいにしたりして帰ってくるような「エシカル・ツーリスト」に通じる考え方を広めたいですね。ツーリストとして解決できることを提案し、情報発信していけたらと思っています。

具体的には、観光を目的としたツアーコースではなく、社会貢献の時間がツアー自体に組み込まれているプランを作りたいと考えています。例えば、マナーの確認から始まって、ごみ拾いがツアーのセットになっているなど、観光会社さんと一緒に作っていきたいですね。(2019年秋頃スタート予定)

2020年に公開される「西表島ドキュメンタリームービー」について教えてください。どのような映画になりそうですか。

「残そう」というテーマのもと、西表島の自然と文化を守る方々にスポットを当てながら、一年を通した島の自然と生活の営みを追いかける映画を制作しています。今回密着させていただく “石垣金星・昭子夫妻”は、西表島の伝統文化を継承するレジェンド的な存在です。お二人の工房に私も何度もお邪魔しているのですが、自然豊かなところにあって、蚕を昔ながらの方法で飼育されていたり、コーヒー豆の畑や染物に使う植物に囲まれていたり、とても素敵なんです。

西表島の自然 写真3西表島の自然 写真4

西表島の自然(C)choji Nakahodo

関連記事一覧

タグ