＜みずほ＞が金融機関として企業の環境問題への取り組みについてサポートするのは、確かに社会的な貢献という側面もありますが、ビジネスにもなるからです。むしろ、ビジネスとして取り組むことで持続的に支援できます。

そのような状況下で、スマートシティを含めた環境都市プロジェクトや環境分野における協力、省エネ環境ファンドなど、資金やノウハウに対するニーズはとても高くなっています。

みずほコーポレート銀行は、日本国内の大企業を主要な取引先とし、海外における銀行ビジネスを一手に担っています。そのみずほコーポレート銀行とみずほ情報総研が進めている、中国南部の中心地域である広州市における「環境都市開発プロジェクト」は、特色のある取り組みと言えるでしょう。

本プロジェクトでは＜みずほ＞単独ではなく、お取引先企業との協働により、国内外における『日本企業のイニシアティブ（主導権）による』環境都市開発プロジェクトの展開を模索しています。みずほコーポレート銀行は開発段階からプロジェクトに関わることにより、企画・開発・推進・管理のノウハウを蓄積することができます。そのノウハウをほかの新興国にも展開し、日本発の環境都市プロジェクトの構築を通じ、国外における環境問題の支援を行いながら、金融機関として日本産業全般の成長戦略をサポートすることが可能ではないかと考えています。

「環境都市開発プロジェクト」は広州市だけでなく、いくつかの地域でのプロジェクトに参画しています。いずれのプロジェクトでも、お取引先などと協働し、これまで培ったノウハウを新興国における環境問題への対応に活用するとともに、日本産業全般の成長戦略をサポートしていきたいという点は一貫しています。

これは、青島（チンタオ）市が推進する省エネ・環境保護政策に貢献し、それに携わる日本企業の中国における活動の支援を目的とするものです。

2010年6月29日に、みずほコーポレート銀行とみずほコーポレート銀行（中国）有限公司が、中華人民共和国青島市人民政府との間で省エネルギー・環境保護分野に関する協力協議書を締結しました。これにより、日中の各機構・各企業の連携を促進し、省エネ・環境保護に関するビジネスマッチングや協力案件の促進、関連企業の投資促進などを行います。実は、同市が環境分野にかかわる協力協議書を中国国外の金融機関と締結したのは、これが初のケースとなります。

青島市は中国の沿岸都市の中でも経済発展が目覚ましく、日系企業も盛んに進出している所です。また、家電や情報通信分野の企業が多いことから、同市政府では省エネ・環境保護を重視した発展政策を推進しています。

中国は＜みずほ＞が最も注力している市場のひとつで、同国内に13の拠点を有しています。みずほコーポレート銀行（中国）有限公司では2008年に山東省においてメガバンク系では唯一となる青島支店を開設し、2009年12月には当行頭取が同市の経済顧問に就任するなど、深い関係を築いています。

これまでに参画している案件の数からすると中国が多いのですが、スマートシティ関連では中国以外にも、インドや米国のハワイでもプロジェクトの実績があります。

中国政府は環境問題に力を入れて取り組んでおり、2011年から2015年の中期計画である「第十二次五カ年計画」に、政策重点分野として「省エネ・環境保護」が盛り込まれています。

日中両政府では、2007年4月に「日本国政府及び中華人民共和国政府による環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」を発表しており、双方の協力体制を強化していこうという点で合意しています。みずほコーポレート銀行では、そのような動きを金融面からサポートすることを目指し、「日中省エネ環境ファンド」を組成しました。

中国に次いで注目されている市場がインドです。みずほコーポレート銀行ではインドのチェンナイという都市で、工業団地を中心とする環境複合都市開発の支援を行っています。また、米国のハワイでは離島型スマートグリッドの実証実験事業に参画しています。離島の場合、輸送等でエネルギーコストが高くなるという経済的な問題もあるなかで、再生可能エネルギーやスマートグリッドの活用方法を検討するために、蓄電ツールとして電気自動車などを使った実験を進めています。