宇宙航空研究開発機構JAXA :: 前編

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JAXAのプロフィール-環境レポート(JAXA ECOレポート©)

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宇宙航空研究開発機構JAXA :: 前編

環境レポートを編集するに当たって、苦労した点はありますか。

環境レポート(JAXA ECOレポート©)で一番苦労する部分は、情報のなかで何を取捨選択するべきかということです。環境レポートは冊子という形にするため、ページの制約上どうしても捨てなければならない情報が数多くあります。多くの情報を捨てながら、本当に伝えてたいことに絞るのが大変でした。

さらに、環境レポートでは読者を想定し、分かりやすく(読みやすく)するというのが難しい点でした。

一方、事業の概要や組織の説明は、JAXAのホームページやパンフレットなど、情報発信する媒体が数多くあるのですが、それらの情報と重複しないように工夫すること、情報の品質を保つことも苦労しました。

そして、冊子の内容の統一感を作ること、ほかの組織のレポートとは違う個性が必要な点でも苦労しました。

環境レポートは、どのような形で利用されているのですか。

環境レポートは、高校生や中学生にレベルを合わせています。

JAXAという組織を人に例えた場合、レポートはその人格・品格などを知っていただくため、JAXAのイメージや全体像を紹介するためのプロフィール的なものと捉えていますので、JAXAの全容を知りたい方に環境レポートが多く利用されています。

情報量がコンパクトであり、社会面の記載などでJAXAがどのような組織なのか分かりやすくなっています。また、毎年作成しており、アニュアルレポートの要素もそなえていますので、環境レポートは便利なツールといえるでしょう。中学校や高校の教材として利用されることも多いようです。

環境レポートは、何年前から出しているのですか。

2008年度版で3年目となります。環境レポートの発行は企業と比べると随分遅かったのですが、内容はそこそこに、まとまっているのではないかと思います。JAXAでは様々な環境への取り組みを行っていたのですが、それを一度整理して、重要なポイントを伝えるのに徹したことが、環境レポートの作成とマッチしたといえるでしょう。

今後はどのような形で環境レポートを出していくのですか。

環境レポートは、あらゆる方々とのコミュニケーションを図る役割が最も重要です。JAXAでは、ホームページなど数多くの媒体で情報を発信していますが、今後はホームページと上手にリンクさせ、分かりやすい言葉を用いてシンプルに情報提供を行うことが大切だと思います。そして、伝えたいことはしっかり伝えるということを目指したいですね。

また、JAXAから一方的に情報を発信するのではなく、ステークホルダーや環境レポートの読者、宇宙に興味がある人たちの意見を多く反映していきたいと考えています。そうなれば、環境レポートは現在よりもさらに充実したものとなるはずです。

環境レポートについて、これだけは知って欲しいということはありますか。

国内では唯一の宇宙機関として、ほかにはないビジュアル的な情報を提供できますので、多くの方が地球という唯一の星の大切さを、ビジュアルを通して感じていただければと思います。環境問題など全体的な地球規模の問題はイメージしにくいところがあり、目の前で起こっていることから地球全体の問題まで、考えや実感が及ぶという人は多くはいないでしょう。そこで、地球の損傷イメージを持っていただける媒体として、環境レポートを教育の現場などで活用してくださればと考えています。

環境レポートは高校生以上を対象にというお話でしたが、小学生向けにも情報を提供しているのですか。

JAXAのホームページでは、子供たちのために情報発信を行っているものがあります。また、環境レポートほど詳細ではありませんが、「サテ★カフェ」という小冊子をダウンロードすることも可能です。ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたく思います。

なお、JAXAでは、これとは別に環境や宇宙開発の理解のための子供向けのサイトがあります。

サテ★カフェ

子供向けのサイトというお話がありましたが、どのようなものなのですか。

子供向けのサイトとして、「JAXAクラブ」があります。「JAXAクラブ」は子供の頃から宇宙やJAXAに親しんでいただこうとするものです。無料の会員制なので、登録をしていただくとニュースや特集といったコンテンツがご覧になれます。

また、「JAXAクラブ」では、クイズに答えていただくと認定証をお送りいたします。

子供たちへのメッセージはありますか。

地球温暖化が深刻な問題になっています。私の子供のころと比較しても、確実に気温が上がり暑くなったという実感がありますし、地球温暖化で生物の絶滅が加速しているそうです。便利で豊かになるということと、失っていく自然環境や生物についてよく考え、地球の容量は有限で、無秩序に損傷させると回復できず、かえって豊かさを失う危惧とか、地球の将来を考えていただくことが大切ですね。でも、子供たちのほうが大人よりも環境問題について敏感かもしれませんが……。

また、メッセージというと大げさですが、長期的で遠くから物事を捉える目線と想像力を養っていただければと思います。そして、時間と空間を大きく取った想像力にヒントを与えるという意味で、人工衛星から撮った地球の写真など、学校や家庭でJAXAの発信するビジュアル情報をぜひ活用して欲しいですね。


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