日産自動車株式会社

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環境問題への終わりなき挑戦-「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)」

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日産自動車株式会社

今回の「エコなニュース」は、100%電気自動車「日産リーフ」でおなじみの日産自動車株式会社様の取り組みをご紹介。

日産自動車株式会社様では、「日産リーフ」をはじめとする電気自動車の開発や普及に加え、「日産リーフ」に搭載している蓄電池を活用した“LEAF to Home”の導入など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

  • ゼロエミッション事業本部
    ZEV企画グループ
    部長
    牧野英治様
  • 経営企画本部
    経営企画室
    環境企画グループ
    次長(取材当時)
    朝日弘美様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。

まずは、当社がどのように環境問題を認識して取り組んできたかという、変遷についてお話します。

当社では、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)」を2001年1月よりスタートしています。2001年には「NGP2005」、2006年12月からは「NGP2010」、そして2011年10月より「NGP2016」として継続して取り組んできました。

「NGP2005」をスタートしたころの挑戦は、排出ガスのクリーン化によって都市や地域の環境負荷を抑えることで、まだ身近な環境問題に限定していました。それに対して「NGP2010」では、課題の視点を地球規模にまで広げて、CO2排出量の削減といった大きな課題に取り組んできました。そして、2011年から取り組んでいる「NGP2016」では、地球環境に及ぼす影響だけでなく、地球環境への依存についても焦点を当てて、課題として取り組んでいます。

更新されるごとに、取り組むべき課題が大きくなっていますね。

当社の事業であるクルマの生産や、お客さまによるクルマの運転は、全て地球上のエネルギーと資源を使って行われます。そして、それらの利用を通じたクルマの生産や運転の結果、CO2や排出ガス、廃棄物などが出されます。

そこで、従来はクルマの生産における環境負荷低減を進めてきたわけですが、運転時の環境負荷低減についても取り組んでいこうと焦点を拡大させました。その結果、資源やエネルギーを“循環”させることが必要との考えに至ったのです。

化石燃料は長い年月をかけて生成される、時間軸が長いエネルギー源ですが、エネルギーを得るまでの時間は短く、かつ循環できることが重要です。よって、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの変換を進めたいと考えています。さらに、資源という点ではリサイクルをさらに進化させ、再生可能な材料を使用する、そしてそれをもう一度利用することにも取り組んでいきます。こうした取り組みを通じて、地球への依存を低減できるはずと考えています。

それらを踏まえて、具体的に「NGP2016」ではどのようなことに取り組んでいるのですか。

「NGP2016」では走行中にCO2や排出ガスを出さない「ゼロ・エミッション車の普及」、日産車(内燃機関車)の平均燃費を2005年度と比較して35%改善するという「低燃費車の拡大」、企業活動における「カーボンフットプリントの最小化」、前述のリサイクルを進化させる「新たに採掘する天然資源の最小化」という、経済性と環境を両立させた4つキーアクションを進めています。

今回の取材のメインテーマでもある「ゼロ・エミッション車の普及」についてお聞かせください。

当社では、クルマの走行時に排出されるCO2を今後どれだけ削減しなければならないのか、国際エネルギー機関(IEA)のデータを基に試算してみました。その結果、これからもクルマの保有台数増加が見込まれるなか、大気中のCO2濃度を450ppm 以下で安定させるためには、2050年に新車からのCO2排出量を2000年から90%も削減しなければならないことが分かりました。

ガソリン車の燃費を改善することで2000年から30%ほどCO2を削減できますが、それだけでは十分ではありません。いわゆるハイブリッド車であっても、50%の削減が限界で、2050年までに90%削減するためには、CO2や排気ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池車(FCEV)への普及に加え、それらのエネルギー源に再生可能エネルギーの利用が必要となります。この認識に基づき、当社は2006年に発表した「NGP2010」で、電気自動車の投入を公表したのです。

電気自動車であれば、CO2を全く排出しないと言えるのですか。

電気自動車であれば電気をつくるエネルギー源によって、“CO2をゼロにする可能性”があります。この点が、ハイブリッド車などのエンジン搭載車とは大きく異なる点です。そこで、当社は電気自動車をいち早く導入することにより、環境負荷低減の社会を率先して構築していこうと考えたのです。

この考え方をベースに、「NGP2016」では、当社のアライアンスパートナーであるルノー社とともに、全世界で2016年までに累計で150万台の電気自動車を販売することを目指しています。ただし、単に電気自動車を販売するというだけではなく、電気自動車を社会にどう活用させ普及させていくかという取り組みも含んでいます。具体的には電気自動車に搭載している大容量のバッテリーにためた電気を、社会全体で活用・再利用することも含めて、持続可能なモビリティ社会を構築していきたいと考えています。


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