株式会社資生堂 :: 前編

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環境への取り組みは創業時から-「資生堂エコポリシー」

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株式会社資生堂 :: 前編

「美」と「エコ」をつなげていく一番の方法として御社の商品があると思いますが、商品開発における環境配慮としてどのようなものがありますか。

私たちは、商品での環境対応こそ、環境活動の根幹と考えています。商品開発における様々なポイントにおいて古くから環境に配慮しながら商品開発を進めてきました。

商品の環境対応の方向性をまとめたものとして、弊社のWebサイトなどで「エコの木」という図表を掲載しています。

エコの木

「エコの木」は、“幹”として「再利用」と「省資源」に大きく分類し、植物由来樹脂・森林認証紙・再生ガラスというように“枝”の部分で環境対応項目をさらにカテゴライズし、一本の木の形で表したものです。エコの木は商品の環境対応の方向性を総括したものですので、さらに具体的な商品を例に挙げてお話をします。

弊社には、「アクアレーベル」というスキンケアブランドがあります。2009年8月に保湿ラインをリニューアル発売したのですが、それまでは商品を入れるケースとしてプラスチック製の外箱を採用していました。商品をご購入されたお客さまは、ご自宅で使い始めるときにはプラスチック製の外箱は捨てられるわけですが、多くの競合メーカーがひしめくドラッグなどの売り場のなかで、少しでもインパクトを与えて、お客さまに手に取っていただきたいという思いがあったため、プラスチック製の外箱をなくすことは難しかったのです。

一方で、ご購入いただいたお客さまからは、「プラスチック製の外箱はもったいない」という声や、「無駄なごみになる」といった声を、多くいただいておりました。

そこで、今回のリニューアルでは、従来のプラスチック製の外箱からフィルム包装に変更して発売しました。樹脂フィルム包装としたことで、プラスチック製の外箱を採用していた旧製品と比較して90%も樹脂量を削減することができました。

まだ、全てのブランドにおいてプラスチックの外箱をなくしたわけではないのですが、アクアレーベルが先陣を切ってエコ対応したことにより、ほかの商品もエコ化が進む流れが生まれています。

アクアレーベル

「マキアージュ」のセットアイシャドーは、トータルメーキャップ提案という考え方から、複数の色をセットで販売していました。当然、使い続けていくうちに気に入った色や使う部位によって減り方が異なってきます。1色だけ先になくなった場合、従来ではもう一度複数の色のセットをお求めいただくしかありませんでしたが、お客さまからは「なくなった色だけ買えるようにしてほしい」といった声をいただいていました。

そこで、2009年1月発売の「マキアージュ アイズクリエーター(3D)」では、1色ごとにレフィルを作り、個別に取り替えられるようになりました。このような設計にすることで、各色ごとにムダなく使い切ることができると同時に、ケース自体も永く使うことになるのでとてもエコに近づくことができたと思っています。

マキアージュ アイズクリエーター(3D)

少し異なる角度から環境に配慮したものとして、「URARA(ウララ)」という中国で販売している商品があります。

「ポリ乳酸」という植物由来のプラスチックがあるのですが、それを使うと石油由来プラスチックの削減につながります。「URARA」の容器は、ポリ乳酸を石油由来のプラスチック(高密度ポリエチレン)でサンドイッチのように挟む積層構造となっています。全てポリ乳酸であれば100%植物性といえるのですが、ポリ乳酸は耐熱性・耐衝撃性・水分バリア性などの点で劣るため、高密度ポリエチレンで内側と外側を覆っているわけです。この積層構造によって(将来的に枯渇する)石油由来プラスチックの使用量を減らすようにしています。

URARA&積層構造

「UNO FOG BAR(ウーノ フォグバー)」が人気ですが、この商品にも環境に配慮した点があるのですか。

今年(2010年)1月21日にFOG BARのレフィルを発売したことです。

通常、現在使っている整髪剤がなくなった場合には、同じ商品(樹脂製ボトル)をご購入いただくことになります。しかし、今回のFOG BARの中味が液体ということもあり、スタンディングパウチ型のレフィルを発売することができました。このレフィル発売により、90%近く樹脂量を削減することが可能となります。お客さまにとっては、レフィルをお求めいただくことで、経済的にもお得です。このように、レフィルを発売したことで樹脂量の削減につながるという意味で、エコだといえます。

UNO FOG BARというと、話題の男優さん4名を起用したファッショナブルな宣伝に注目してしまう人も多いかと思いますが、私たちからすると、その裏で環境にいかにやさしい商品が作れるか、という商品開発に携わる者たちの想いがたくさん詰まった商品なのです。

UNO FOG BAR&レフィル

尾高様 蔵内様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。
後編では、社内で行っている具体的な取り組みや、環境活動のWebサイトにも触れていきます。お楽しみに!


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