森永製菓株式会社

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“エンゼルのように地球にやさしく!!”

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森永製菓株式会社

今回の「エコなニュース」は、「ハイチュウ」や「チョコボール」でおなじみ、森永製菓株式会社様の取り組みをご紹介。

森永製菓株式会社様では、“エンゼルのように地球にやさしく!!”という環境基本理念を掲げ、「森永エコインデックス」やオリジナルキャラクター「ぬ~ぼ~」の取り組み、「伊賀エンゼル自然塾」、「リトルエンゼル無人島探検隊」など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

生産管理部 環境戦略室長 川村様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境への取り組みを始めたきっかけについてお聞かせください。

森永製菓は“おいしく、たのしく、すこやかに”という基本理念の下、社会のために存在する企業として、安全で高品質な製品をお客様に提供し続けるとともに、誠実な企業としての法の順守・お客様とのコミュニケーション・社会貢献活動・環境保護の面でも、社会に対する責任を果たすべく取り組んでまいりました。

環境への取り組みというのは企業が果たすべき重要な社会的責任であり、森永製菓では大正時代から創業者森永太一郎が、工場の敷地内に安らぎのある緑や庭を配置する「ファクトリーガーデン」の思想を持っていました。1971年から使用していた“高原の小枝を大切に”というキャッチコピーにも表れているように、常に環境について関心を持ちながら事業活動を展開してきたのです。

このキャッチコピーは当社製品である「小枝」の発売時に使われていたものであり、2001年から2007年までに発行した環境報告書の表紙にも記載されていました。ちなみに、当時の環境報告書の表紙では、この小枝を使って植物の葉をかたどっています。

2008年版の環境報告書からは、表紙に“エンゼルのように地球にやさしく!!”という環境基本理念を掲載して、エンゼルの絵に変更しています。

 2010年版の環境報告書の表紙
 2007年版の環境報告書の表紙

1991年に社内で環境委員会を設置し、1997年には環境方針を制定しました。当時から“エンゼルのように地球にやさしく!!”を環境基本理念として掲げ、1998年7月には小山工場で日本の菓子業界では初めてISO14001を取得しました。現在では、全工場において取得を完了しています。

2001年1月には、全社的な環境保全の取り組みを一元管理する部署である「環境対策室」を設置しました。この環境対策室は、2008年8月には「環境戦略室」に改称し、環境保全を中心とした対策型から環境経営を担う戦略型への取り組みの進化を図っています。今年(2010年)の6月には環境方針を改訂し、当社では環境活動をより一層強力に推進しています。

また、今年の4月にはコーポレートコミュニケーション部内に、社会貢献グループを独立して設置しました。社会貢献グループでは生物多様性の保全を初めとした社会貢献活動を推進しており、自然共生社会の構築に寄与すべく取り組んでいます。

生物多様性の保全を初めとした社会貢献活動を推進というお話ですが、今年(2010年)が生物多様生年であることを踏まえたわけですか。

昨年の時点で、環境目標としては生物多様性の保全や社会貢献活動の推進を掲げており、今年の環境方針の改訂で理念などの基本的な部分にも反映させたという経緯があります。

当社の環境方針の第6項には、<環境意識の高揚及び生物多様性の保全・社会貢献活動の促進>という内容が記載されています。

ちなみに、環境保護や生物多様性の保全に関わるという部分では、1999年から当社の100周年事業として「リトルエンゼル無人島探検隊」などのイベントを実施しています。こちらの内容については後述します。

環境方針についてお聞かせください。

先述したように、当社における環境基本理念として、“エンゼルのように地球にやさしく!!”というものを掲げています。この内容を具体的に説明したものを、環境基本理念の下に記載しています。

従来は「森永製菓はすこやかな地球環境の維持・向上を願い、持続的成長と循環型社会形成に寄与すべく、企業活動のあらゆる面で環境保全に配慮した取り組みをおこない、国際社会から信頼される企業を目指します。」という内容を記載していました。地球温暖化防止ということもありますが、持続的成長と循環型社会の形成を目指すことを主眼に置いていたのです。

昨今は、地球温暖化防止のため、CO2排出量削減が社会的に求められていることもあり、それらを反映させて「森永製菓は地球温暖化防止のため低炭素社会の実現と持続的成長が可能な循環型社会の形成を目指し、生物多様性の保全を通じた自然共生社会の構築に寄与すべく、企業活動のあらゆる面で環境に配慮した取り組みをおこないます。」という内容に改訂しました。

この環境基本理念に記載されている「低炭素社会の実現」と「循環型社会の形成」、「自然共生社会の構築」を森永製菓の環境方針の3本柱として進めています。それぞれについて説明をさせていただきます。

最初の地球温暖化防止のための低炭素社会の実現は、当社の環境方針において最も重要なものという位置づけです。地球温暖化というのは、その予想される影響や深刻さから見て、人類の生存基盤に関わる環境問題といえます。地球温暖化防止のため、省エネルギーの推進および管理標準を整備するなどの、エネルギー使用の“見える化”を図るとともに、CO2を初めとする温室効果ガスの排出量を把握し、削減するカーボンマネジメントを実施することにより低炭素社会の実現に取り組むことを表しています。

従来の環境方針の第3項<省エネルギーの推進>は、「各種エネルギーの効率的利用を促進し、使用量の削減によりCO2排出量を削減して、地球温暖化防止に努めます。」という内容でした。しかし、「低炭素社会の実現」という内容を受けて<CO2等の温室効果ガス排出量削減>と変更し、「省エネルギーの推進及びエネルギー使用の見える化等、カーボンマネジメントを実施し、CO2等の温室効果ガス排出量を削減して、地球温暖化防止に努めます。」として、CO2の削減を明確化しました。

次は、持続的成長が可能な循環型社会の形成です。大量生産・大量消費型の社会経済活動は、大きな恩恵をもたらす一方で、有限な資源を浪費し、地球の環境に大きな負荷を与えています。そこで、品質第一で不良品を発生させない考え方の下、廃棄物の排出量を抑制し、廃棄物リサイクル率や食品リサイクル率の向上、容器包装の削減・減量化など、循環型社会の形成に取り組むことを述べています。一般的にメーカーの場合、回転率を上げて製造高を優先したくなる傾向がありますが、品質第一ということで、適正なスピードで作り込みロスを抑えるというバランスを持てば、廃棄物の削減や生産性の改善、省エネにもつながります。この部分は、従来から環境方針における重要な位置づけということもあり、特に変更はなされていません。

最後は、生物多様性の保全を通じた自然共生社会の構築です。生物の生息・生育環境は、人間活動による土地改革や環境汚染などにより大きく損なわれた結果、生物多様性の大幅な喪失が引き起こされ、生態系の劣化が進んでいるという状況です。2010年は国連が定める「国際生物多様年」であり、同年10月には名古屋で「生物多様性条約第10回会議(COP10)」が開催されます。生物多様性条約は、「気候変動枠組条約(気候変動に関する国際連合枠組条約)」とともに環境に関わる柱となっている条約です。

当社では、先述したように今年の4月にコーポレートコミュニケーション部内に社会貢献グループを独立して設置し、森永製菓らしい生物多様性保全の取り組みとして「伊賀エンゼル自然塾」や「リトルエンゼル無人島探検隊」などの社会貢献活動を推進しています。また、「WCF(世界カカオ財団)」の活動なども含めて生物多様性を維持し、自然の恵みであるカカオなどの農産物である原料の安定供給を目指すことも、生物多様性の保全の考え方に含まれています。

これを受け、環境方針の第6項<環境意識の高揚>の「社内マネジメント体制を整備・改善し、環境教育を通じて、全社員の環境意識の高揚を図り、社内外の環境保全活動に積極的に取り組みます。」という内容も変更しました。従来は、生物多様性も含めて社内外の環境保全活動という形で記載していたのですが、それを<環境意識の高揚及び生物多様性の保全・社会貢献活動の促進>と変更して、「社内環境マネジメント体制を整備・改善し、環境教育を通じて、全社員の環境意識の高揚を図り、生物多様性の保全・社会貢献活動に努めます。」という内容にし、生物多様性の保全と社会貢献活動の促進を明確化しています。

これらの内容が、改訂における主要な部分といえるでしょう。


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