株式会社ブリヂストン

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3つの社会の実現-「環境宣言」

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株式会社ブリヂストン

貴社の商品である、環境タイヤ「ECOPIA(エコピア)」について、具体的な性能をお聞かせください。

タイヤ用のコンパウンドは、天然ゴムや合成ゴムからなるポリマーと、カーボンブラックやシリカ等からなる充填剤などが複雑に混ざり合うことで構成されています。当社は、ポリマーの主原料であるモノマーを重合するための触媒を新開発して活性の高いポリマー末端を有したポリマーを得る技術と、この活性末端に最適な変性剤(ポリマーに特殊な機能を付与する薬剤)を反応させて充填剤の反応性末端に変換する技術を組み合わせて、末端変性ポリマーを合成する技術を確立しました。

こうしたポリマーや充填剤、その他の助剤などそれぞれの原材料を分子設計することによって、充填剤とポリマーの間の親和性を自在に制御することを可能とした新技術を、「ナノプロ・テックTM(NanoPro-Tech/Nanostructure-Oriented Properties Control Technology)」と命名しました。この技術によってゴムの微細構造(モルフォロジー)を制御することが容易になり、その結果用途に応じて必要とされる性能を引き出すコンパウンドをより自由に調製することが可能となりました。

「ナノプロ・テックTM」を活用して得られたコンパウンドは、タイヤの転がり抵抗を低減して環境性能を向上させたり、ウェットブレーキ性能をはじめとした安全性能を向上させるなど、様々な形で製品(タイヤ)への応用が可能です。環境タイヤ「ECOPIA」では、この「ナノプロ・テックTM」という技術を導入しています。

「ナノプロ・テックTM」のマーク

従来のポリマーでは、カーボンが擦れ合うことにより発熱部分が生じるため、エネルギーロスが発生していました。しかし、「ECOPIA」の末端変性ポリマーではナノレベルで配置を最適に整列させることで、カーボンが分散します。そのため、カーボン同士の擦れによる発熱を抑え、エネルギーロスを低減することができるのです。

地面に接するのはゴムの部分であるため、そこを変えなければ燃費性能の向上にはつながりません。材料の微細構造を制御した「ナノプロ・テックTM」によって、トレッドゴムのエネルギーロスを低減して発熱を抑制し、転がり抵抗の低減を図りました。

また、「ECOPIA」ではタイヤサイド部の形状を最適化(エコ形状)し、エネルギーロスを緩和することに加え、部材ごとの重量バランスを最適化(重量最適化)することで、転がり抵抗を低減させています。

このように、「ナノプロ・テックTM」「エコ形状」「重量最適化」という3つの技術の融合により、燃費性能の大幅な向上を実現しました。

「ECOPIA」では転がり抵抗を低減したというお話でしたが、どの程度まで低減することを実現したのですか。

例えば、「ECOPIA EP100S」という商品では、「B’STYLE EX」という従来品と比べてみると、39%も転がり抵抗を低減させることができました。

「ECOPIA EP100S」を装着した車の場合、どの程度燃費を向上するのですか。

ドライバーの運転技術によるところも大きいため一概にいうことはできないのですが、乗用車用タイヤの場合、その転がり抵抗が燃費に与える影響(寄与率)は一定速度走行で20~25%、モード燃費試験で10~20%、一般市街地走行で7~10%といわれています。従って、一般市街地走行で寄与率が10%の場合は、タイヤの転がり抵抗を40%減らすと燃費は4%向上することになります。

「ECOPIA EP100S」に履き替えるだけでもそれだけの効果があるというのは、大きな違いといえるのではないでしょうか。

低燃費タイヤ「ECOPIA EP100S」

「ECOPIA」は、様々な表彰を受けているようですが。どのような点で評価されているのですか。

例えば、「ECOPIA EP100」という商品は、日本経済新聞社が主催する「2008年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞」や、日本環境効率フォーラムが主催する「環境効率アワード2009 奨励賞」で、CO2排出量削減に寄与する「地球温暖化防止」に貢献する商品であること、環境性能と安全性能の両立、低燃費性能とそれによるお客様への貢献という点で評価していただきました。

転がり抵抗をどんどん下げていくと、実は、ウェットグリップなどのほかの性能とのトレードオフ(二律背反)が生じてしまいます。ちなみに、ウェットグリップとは雨の日など、濡れた路面におけるグリップ力(制動性)のことです。

基本的には転がり抵抗の性能が向上するほど、基本的にウェットグリップ性能は低下していきます。グリップ力があるということは、抵抗がある=止まるということを意味するわけですが、転がり抵抗とウェットグリップ性能のどちらも維持するというのは、実は技術として難しいところなのです。当社の「ECOPIA EP100S」では、転がり抵抗は最高グレードのトリプルAでウェットグリップ性能はcグレード、また「ECOPIA EX10」はサイズによって異なりますが、転がり抵抗がダブルAまたはAでウェットグリップ性能はbグレードとなります。


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