トラは幻の動物になりつつある?
今年の干支は寅だが、トラといえば阪神タイガースやタイガーマスクのように、強さの象徴ともいえる動物だ。実は、密林の王者とも呼ばれるトラは、数年前から絶滅の危機にあるという。20世紀初頭には10万頭も生息していたのだが、現在では約3,400~5,100頭にまで減少しているというのだから驚きだ。
トラはネコ科最大の動物だ。正式には動物界・脊椎動物門・哺乳鋼・食肉目・ネコ科となるらしい。
トラは、インド・インドネシア・ネパール・タイ・バングラディッシュ・中国など、主にアジア圏に生息している(※ロシアにもいる)。生息するのは1種類だが、地域や環境によって身体的な違いがある9種類の亜種に分類されるという(※すでに絶滅したものも含む)。現在絶滅の危機にあるのは、「ベンガルトラ」「シベリアトラ(アムールトラ)」「スマトラトラ」「アモイトラ」「マレートラ」「インドシナトラ」の6種。亜種の微妙な違いが分かりにくいのだが……。
トラの生息地である森林は、破壊や減少が進んでいる。また、皮・牙・骨などを目的とした密猟もあり、トラは絶滅が危惧されている。トラのオス1頭が生息するためには、山手線内(約65平方キロメートル)の2~3倍の広さを有する森林が必要となるらしい。トラ以外の数多くの生物が住む(棲む)ためにも森林は必要だ。そのため、トラが減少することは、森に住む生物の“命のつながり”が弱くなることを意味するのだという。
トラの皮は、敷物・財布・ジャケットなど、装飾品や服に利用される。歯や爪、ひげは魔除けのお守りとして売られている。トラの骨は、アジア各地では薬や強壮剤として利用されているのだとか。間接・腱・骨の痛み・腰と脚の無力症の治療に用いられているという。
トラの国際取引についてはワシントン条約で禁止されているが、残念ながら密猟がなくなっていないのが現状だ。ちなみに、日本では2000年4月に「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」が改正され、トラの身体を含めた製品の、国内における売買は禁止されている。
トラを絶滅の危機から守るため、WWFジャパンでは森林プログラムの一環として、「トラに願いを。」という支援活動をスマトラ島で行っている。これは、トラとトラが生存するための森林を保護する活動だ。トラによる人や家畜の被害を軽減する方法についても模索している。スマトラ島だけでなく、極東ロシアにいるシベリアトラの保全も行う予定だという。気になる人はチェックしておこう。
「人や家畜を襲うこともある、トラなんて怖い動物を守る必要があるのか」という意見も出てきそうだが、問題はそれほど単純ではない。トラは生態系における食物連鎖において頂点に位置する動物であり、鹿や鳥、猿など多岐にわたる動物を捕食する。もし、天敵であるトラが絶滅すると、次のような事態が想定されるという。
『トラがいなくなる→トラが捕食する鹿や猿などの個体数が増える→鹿や猿の食べる植物が減少→同じ植物を食料や家にしていた昆虫類や小動物が減少→昆虫類や小動物を食料としていた鹿や猿も減少→昆虫類や小動物に受粉をしてもらっていた植物類が減少』
このようにトラが一種欠けてしまうだけでも、ほかの動植物も連鎖的に減少していくという可能性がある。そう考えると、トラは生態系のバランスを取る=“命のつながり”を守る存在として重要だといえる。
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