台風に関する疑問を解き明かす

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2009年11月05日

台風にどうやって名前がつけられるのか

台風やハリケーンには「第○号」「カトリーナ」などというように名前がつくが、あれはどのようにして決められるのだろうか。

日本の場合、気象庁では毎年1月1日以後,最も早く発生した台風を「第1号」とし、発生した順に番号をつけている。「台風17号」という場合、その年に最初に発生した台風から数えて17番目を意味する。文献では元号年と組み合わせて(平成○○年台風第○号)、天気図では西暦の下2ケタと一緒に表記する(平成10年に発生した10番目の台風は「台風1010」)。一般的には、単に「台風1号」という形で呼ばれる。

しかし、西暦の下2ケタで表記する場合には100年後に重複する問題が(※2000年と2100年の台風1号はどちらも「0001」)、単に「台風1号」と表記する場合は何年なのかが分からないという問題が発生する。

日本のように番号をつけるのは紛らわしく、名前をつけるほうが分かりやすいということで、世界的には番号式はあまり普及していないようだ。

米国の場合、米海洋大気局(NOAA)のハリケーンセンターが、世界気象機関(WMO)という組織内の委員会であらかじめ決定しておいたリストから発生順につけていく。

NOAAのサイトには、決定されているハリケーンの名称を掲載している。例えば、大西洋で発生したハリケーンの場合には、「Atlantic Names」の表が使われる。その一部を挙げておこう。名称をよく見ると分かるかと思うが、単語の先頭の文字がアルファベット順になっており、そのリストをAから順番に使用する。

アルファベット順に人名21種類(※ただし、Q・U・X・Y・Zの5文字は使わない)のリストをあらかじめ「6セット」用意しておき、1年ごとに1セットずつAから順に利用していく。6年間かけて6セットのリストを一巡すると、再び1セット目のリストに戻ることになる。

Atlantic Names

2009 2010 2011 2012 2013 2014
Ana Alex Arlene Alberto Andrea Arthur
Bill Bonnie Bret Beryl Barry Bertha
Claudette Colin Cindy Chris Chantal Cristobal
Danny Danielle Don Debby Dorian Dolly
Erika Earl Emily Ernesto Erin Edouard
Fred Fiona Franklin Florence Fernand Fay
Grace Gaston Gert Gordon Gabrielle Gonzalo
Henri Hermine Harvey Helene Humberto Hanna
Ida Igor Irene Isaac Ingrid Isaias
Joaquin Julia Jose Joyce Jerry Josephine
Kate Karl Katia Kirk Karen Kyle
Larry Lisa Lee Leslie Lorenzo Laura
Mindy Matthew Maria Michael Melissa Marco
Nicholas Nicole Nate Nadine Nestor Nana
Odette Otto Ophelia Oscar Olga Omar
Peter Paula Philippe Patty Pablo Paulette
Rose Richard Rina Rafael Rebekah Rene
Sam Shary Sean Sandy Sebastien Sally
Teresa Tomas Tammy Tony Tanya Teddy
Victor Virginie Vince Valerie Van Vicky
Wanda Walter Whitney William Wendy Wilfred

そうなると、2015年にまた「Ana」という名称のハリケーンが登場するので、名前だけではいつ発生したハリケーンか区別はできないという問題がある(こういった周期性の問題は、番号方式でも同様)。

なお、大きな被害をもたらしたハリケーンは名前で呼ばれることも多く、あいまいさを防ぐためその名前は引退し、別な名称がリストに加わることとなる。記憶に新しい「カトリーナ」も、2005年のリストから引退している。

1年の間にアルファベットのWを超える数のハリケーンが発生した場合、どうなるのかと思った人もいることだろう(それ自体、かなりの異常気象といえるが……)。そのような場合、ギリシャ文字のα(アルファ)やβ(ベータ)、γ(ガンマ)などを用いた名前を続けていく。

ちなみに、米国の気象学者などが、ガールフレンドや妻の名前を愛称としてハリケーンに使ったことから、女性の名前のみが用いられていたという(勝手につけられたほうは、たまったものではない)。しかし、男女同権に反するということで、1979年以降は男性と女性の名前が交互に用いられることとなったとか(人の名前を使うこと自体はいいのか…)。

ハリケーンだけでなく、台風などの世界中の発達した熱帯低気圧に名前がついている。NOAAのサイトに掲載されているリストに、「Western North Pacific Names」の表があるのだが、これがアジア各国と米国とで構成する台風委員会が決めた、台風につけられる名称だ。日本の場合、気象庁では番号で呼んでいるが、台風には「アジア名」と呼ばれる名前が別についているのだ。

全部で140もある名前の順序は、台風名を提案した国名のアルファベット順という点でハリケーンとは異なる。また、1セットの名前を使い果たすと次のセットに移るという点はサイクロンと同様だが、名前リストのセットが年ごとに分割されていないので、継続的に利用できる(周期性の問題はあるが)。

Western North Pacific Names

Contributor
Cambodia Damrey Kong-rey Nakri Krovanh Sarika
China Haikui Yutu Fengshen Dujuan Haima
DPR Korea Kirogi Toraji Kalmaegi Mujigae Meari
HK, China Kai-Tak Man-yi Fung-wong Choi-wan Ma-on
Japan Tembin Usagi Kanmuri Koppu Tokage
Lao PDR Bolaven Pabuk Phanfone Ketsana Nock-ten
Macau Sanba Wutip Vongfong Parma Muifa
Malaysia Jelawat Sepat Nuri Melor Merbok
Micronesia Ewiniar Fitow Sinlaku Nepartak Nanmadol
Philippines Malaksi Danas Sinlaku Lupit Talas
RO Korea Gaemi Nari Jangmi Mirinae Noru
Thailand Prapiroon Wipha Mekkhala Nida Kulap
U.S.A. Maria Francisco Higos Omais Roke
Vietnam Son-Tinh Lekima Bavi Conson Sonca
Cambodia Bopha Krosa Maysak Chanthu Nesat
China Wukong Haiyan Haishen Dianmu Haitang
DPR Korea Sonamu Podul Noul Mindulle Nalgae
HK, China Shanshan Lingling Dolphin Lionrock Banyan
Japan Yagi Kaziki Kujira Kompasu Washi
Lao PDR Leepi Faxai Chan-hom Namtheun Pakhar
Macau Bebinca Peipah Linfa Malou Sanvu
Malaysia Rumbia Tapah Nangka Meranti Mawar
Micronesia Soulik Mitag Soudelor Fanapi Guchol
Philippines Cimaron Hagibis Molave Malakas Talim
RO Korea Jebi Neoguri Goni Megi Doksuri
Thailand Mangkhut Rammasun Morakot Chaba Khanun
U.S.A. Utor Matmo Etau Aere Vicente
Vietnam Trami Halong Vamco Songda Saola

ちなみに、日本の台風は星座の名前がつけられている。その昔、航海士が星座によって自分の位置を知ったことに由来する。船に乗る人たちになじみがあるようにと考えてのことらしい。コップ座やうさぎ座など、かなりマイナーな星座が名前になっているが、これは企業名や商標に使われていないものを選んだためなのだとか。

このように日本でも台風にも名称がつけられているのだが、気象庁が番号で一般に情報を出しているため、番号方式が浸透したわけである。

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