サンゴ礁が消える日

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2009年07月30日

3月5日はどうやら「サンゴの日」らしい

枝分かれしたその形状から、サンゴは植物だと思っていた人もいるのではないだろうか。実は、サンゴは口も胃もある、れっきとした動物なのである。サンゴというのはイソギンチャクやクラゲの仲間であり、「腔腸動物(こうちょうどうぶつ)」=厳密にいうと「刺胞(しほう)動物」というものに分類されるらしい。サンゴにはさらに、サンゴ礁を形成する「造礁サンゴ」とか「宝石サンゴ」といった種類があるようだが、今回は説明を省略させていただこう(……今後、説明する機会があるかといえば微妙だが)。

サンゴ礁を形成する造礁サンゴは石灰岩の骨格を作るのだが、この石の骨格が積み上がってできたものがサンゴ礁なのである。そういう意味では、「サンゴ=生物」であり、「サンゴ礁=地形」という認識が正しいようだ。

環境問題というと大気や陸地のことにばかり注目されるが、海のなかにも影響を及ぼしていることを忘れてはならない。その代表的なものが、「サンゴの白化現象」というものだ。これは、サンゴの骨格が透けてしまい、脱色したように白くなる現象である。

なぜ、「サンゴの白化現象」が問題となっているのだろうか。サンゴは動物だが、サンゴの体内で共生している「褐虫藻(かっちゅうそう)」という単細胞の藻類(植物プランクトン)が、海中に溶け込んだ二酸化炭素を吸収して酸素を作り出す「光合成」を行っている。

実は、地球の酸素の7割は海から発生するといわれている。海洋面積全体では、サンゴ礁の海が占めているのは0.2%ほどに過ぎないものの、サンゴが排出する酸素の量は熱帯雨林よりもはるかに多いのだという。サンゴの減少=酸素の減少につながるわけだ。

また、サンゴ礁自体が台風時の高波を弱めるという自然の防波堤となって、人を守っている地域もある。さらに、サンゴを食べる動物もいれば、サンゴ礁を隠れ家として利用する動物も多く存在する。海の生物にとっても、サンゴ礁は欠かせないものだ。サンゴが減少すれば、そのような生物もいなくなってしまう。

サンゴは、白化状態になったからといってすぐに死ぬというわけではない。サンゴがストレスを受けると、①共生している褐虫藻が体内から放出されてしまう(※)、②褐虫藻自体が死滅する、③体内にある褐虫藻の色素が失われるといったことが起こる。このような状態のサンゴは光合成ができなくなり、栄養素の確保が不十分となってしまう。回復するケースもあるようだが、白化の状態が長期間続くとそのままサンゴは死滅することになる。そして、新しいサンゴが育たない環境のままであれば、サンゴ礁自体が壊滅することにつながる。

※最近の調査では、褐虫藻がサンゴの体内から放出されてしまう量はわずかであることが分かり、体内にある褐虫藻の色素が失われるのためというのが有力のようである。

サンゴの白化現象自体はそれほどめずらしいことではないようだが、白化が大規模であるために問題となっているのだ。

このサンゴの白化現象だが、まだ解明されていない部分は多いものの、海水温の上昇が主な原因ではないかと考えられている。サンゴ礁の形成に最適な海水温は25℃~28℃といわれているが、30℃を越える状態が長期間継続すると、サンゴはストレスを受けて白化現象が起こるようだ。

エルニーニョ現象による短期的な海水温の上昇もそうだ。1997~1998年に発生した世界的な白化は、エルニーニョ現象によるものといわれている。ほかにも海水温の上昇だけではなく、土砂の流入やオニヒトデによる食害による影響など、複合的な要因による可能性についても指摘される。

白化現象のメカニズムについてはまだ不明な部分も多く、残念ながら、このようなサンゴの白化現象を食い止めることは難しいようだ。今後はさらなる研究により白化現象のメカニズムが解明され、対応策が見つかることを期待したい。

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